Mini Theater 4’
〜ミッドナイト・ミニ劇場4’(ダッシュ)〜
『Ke』
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!ご注意!
タイトル通り、「毛」ネタです。スネ毛とか腕毛とか、そんなエグい感じですよ。
そのテの生々しい・下品な話は苦手だ! という方は遠慮した方がいいですよ!
いいですかー? 忠告しましたからねー!
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Part-1
「データが手に入ったぜ」
次元が紙の束を持って部屋に入ってきた。
「今度の妖怪フェスティバルに出品される黄金像のリストだ。全部で五十体以上あるらしい」
ソファに寝転がっていたルパンが、それを受け取りながら笑った。
「黄金で妖怪像を作ろうなんて、マ・物好きな連中だねぇ」
「それを盗もうとしているお前の方が、よほど物好きだと思うぜ」
次元はルパンの向かいのソファ、五右衛門の隣に腰を下ろした。
「どんな形でも黄金は黄金ヨ。金持ちが金に明かせて作らせたってぇ黄金細工だ。しかも宝石や珊瑚もふんだんに埋め込んだ、外見が悪趣味なだけの美術品てことさ」
ルパンの言葉に、「外見がわるけりゃ美術品としての価値は屑だろ」と、次元が突っ込みを入れた。
「その、黄金の妖怪像とはどのようなものなのだ」
五右衛門が口を開いた。ルパンは手の中の資料を見る。
「日本の有名な妖怪研究家がデザインした、日本古来の妖怪像が、今度妖怪フェスティバルってェ催しに出展されるのさ。高さ三十センチメートルから五十センチメートルほどの、さまざまな妖怪が純金やクリスタルで作られ、目や鱗などにルピーやアメジストが用いられているんだ。一体で数千万円はしようって代物よ」
「くだらん。金持ちの道楽ではないか」と五右衛門は言った。
「まーな。しかし、妖怪像にはそれぞれ効能があるらしくてな。妖怪神社ってところからお墨付きをもらっていて、正しく祀れば幸運をもたらすというような、信仰の対象にもなっている像なんだとさ。ま、迷信だろうけっどもな」
ルパンが説明していると、次元が口を挟んだ。
「その、妖怪像に与えられた効能ってのがなかなか面白ぇぜ。パンフレットを見てみろよ」
紙の束の中には、フェスティバル用のパンフレットの下刷りまで入っている。フルカラーのパンフレットには、妖怪像の写真が一体ずつ掲載され、その妖怪の伝承や出現地などについても説明がされていた。ルパンはそれに目を通す。
「なになに? ――えーっと、座敷童子(ざしきわらし)、東北地方・主に岩手県遠野市に伝承。子供の姿をした妖怪で、天井裏などに住んでいる。住み着くとその家は繁栄し、いなくなると没落すると言われている。効能、資産家になる。
泥田坊(どろたぼう)。北陸地方の農村部。夜になると田から現れ、『田を返せ』と叫ぶ。怠け者の子孫のため、田を取り上げられた農民の妖怪。効能は、盆踊りが上手く踊れるようになる。
朱の盆(しゅのぼん)、福島県、お盆の妖怪。顔一面が朱を塗ったように赤く、額に一本の角がある。……効能、赤面症が直る。
見上入道(みあげにゅうどう)、佐渡島、宇和島など。夜中に路上に出没する。小坊主のような姿で行く手に立ちふさがり、どんどん高くなる。ずっと見上げていくとそのうちひっくり返ってしまう。……効能、逆上がりができるようになる?」
「ずいぶんと限定された効能が多いようだな」
五右衛門が興味を持ったように呟き、ルパンが差し出したパンフレットを受け取った。
「しかしルパン、こんなものを盗んで、どうしようってんだ? まさか、恋愛成就でも願おうってんじゃねぇだろ?」
次元に話しかけられ、ルパンはソファに寝たまま、笑って頭の後ろで手を組んだ。
「いやぁ、恋のキューピッドにはなってもらおうかなって思ってんだけっどもよ」
「……まさか、またあの女に頼まれたんじゃねぇだろうな?」
声のトーンが落ちる次元の言葉に、彼女のことを思い出して頬が緩んでしまった。
「だーって不二子ちゃんが、どーしても欲しいって言うんだもーん」
くふふ、と笑い出すと、相棒は盛大に舌打ちをして、天井を仰いで唸った。
「やっぱりな! だったら俺ァ降りるからな!」
「ええ〜? いいじゃん、ここまで調べたんだからさぁ。俺たちお友達デショ?」
「おめぇみてぇに学習能力のない奴と付き合いは続けられねぇよ!」
そんな、あまりにいつも通りの会話を繰り返していると、不意に五右衛門が言った。
「ルパン。拙者は手伝うぞ」
「……へ?」
ルパンも次元も、唐突な五右衛門の参加宣言に一瞬、ぽかんとした。
五右衛門は生真面目な顔で、しかし少し口篭もりながら言った。
「……そ、その代わり、頼みがある。盗んだものを一体だけ、拙者に譲って欲しい」
「……」
ルパンと次元は顔を見合わせた。戸惑っている間に、五右衛門は立ち上がり、「では、拙者は修行に行ってくる」と言い置いて、いそいそと部屋から出て行った。
「……どうしちゃったの、五右衛門は?」
唖然としたまま呟くと、次元は五右衛門の残していった資料に視線を落とし、原因に気がついたようだった。
「おい、ルパン」
差し出されたページに目を走らせて、ルパンにもようやく合点がいった。
パンフレットにはこう書かれていた。
『山童(やまわら)――出現地・九州地方。三、四歳ほどの子供くらいの大きさで、全身に毛が生えていて、頭は扁平。山で働く人を手伝う。河童が冬の間、山に入って山童になるという説もある。
効能――体毛が濃くなる』
「……あいつ、この妖怪像が欲しいんだな」
ルパンが呟くと、次元が頷いた。
「そーいうこったな」
二人は知っている。五右衛門は体毛が薄く、髭なども三日に一度剃れば充分であることを。
脛毛や腕毛もルパンや次元に比べれば、脱毛しているかのようにきれいなものだ。それはどうやら五右衛門にとって、男として気恥ずかしいことであるらしい。
盗み出した「山童」像を熱心に拝んで効能を期待する侍の姿を思い浮かべると、二人はもう一度顔を見合わせ、そのまま――笑い出したのであった。
<終>
某サイト様で、「(アニメ版)五右衛門は脛毛が薄いに違いない。
けっこうそれがコンプレックスだったりして〜」
なんてなことを語っていらしたのを見て、ついつい妄想発動。
毛深い男ばっかりだとむさ苦しいから、五右衛門は薄くていいと思います(笑)。
ついでに補足。この妖怪像は実在します。
(当サイト「ルパン語り File 2」を参照してね^ ^ )
実物は黄金などではなく、ごく普通のブロンズ像ですけどね。
その「効能」に爆笑しながら妖怪巡りをしていて、
体毛が濃くなることってご利益といえるのか、当時は謎でしたが、
一部の人にとっては憧憬の効能であるのだと思い至りましたよ(笑)
06/04/16 K七雲
そしてなんと、このネタはさらに次のコネタにも続くのだ! → Part-2