☆ レビュー:各映画作品のコネタ語り編

   プロジェクトA コネタ語り

名作 『プロジェクトA』 。映画全体の評価や物語の展開については本レビューで語ったので、それ以外のとっても細かい部分について、よりマイナーな視点からブツブツと呟いてみたい。

■酒場で大乱闘
・映画の最初の見せ場は、酒場で陸上警察と海上警察が大乱闘するシーン。この時代の酒場の構造はよく知らないが、店の中央にある高い舞台は標準仕様なのだろうか。この舞台の上で
マース大保が漫才のようなネタをやったり、ジャッキーたちがこの上に乗って乱闘を開始する。普段は歌手などがここで歌っているのだろうかな?
・陸上警察の連中が、海の治安の悪さを揶揄するシーンで、海上警察の長官の娘(
イザベラ・ウォン)が立ち上がって「陸にも山賊が出て危険じゃない」と反論すると、ジャッキーや海上警察のメンバーも全員で「黙ってろ!」と怒るのが、昔から不思議だった。海上警察を擁護したのに、なんでジャッキーたちは賛同しないのだろうかと。これはつまり「女のくせにでしゃばるな!」ということなのかと思うのだが、「男の世界に口は出すな」という男尊女卑的な発想であるなら、あんまりいい気はしないよな。本作でイザベラ・ウォンはいまひとつキャラが定まっていなくて、特別な好き嫌いはないけれど、全員に否定されるこのシーンを見るたびにちょっと可哀想になる。
・ここでの
ユンピョウとジャッキーの闘いは、カンフーというより取っ組み合いの喧嘩の様相が強い。 『ドラゴンロード』 でマースと喧嘩していた時よりは洗練された華麗な動きで、でもカンフーバトルというものでもない。 『ヤングマスター』 のような「息を合わせて殺陣をしている」感もなくて、スピーディーで身軽な者同士のケンカがうまく演出されていて、すごく楽しいv

■海上警察、解散!
・海賊退治に出港する矢先、船が爆破され、海上警察は解散して陸上警察に移籍させられることになる。水兵さんの制服から陸上警察の緑の制服に着替えたばかりのドラゴン(ジャッキー)の、
「着慣れなくて似合わない」雰囲気の演出がうまくて感心する。「スーツ姿が似合わない」みたいなぎこちなさって、演技として表現するのってとても難しいことだと思う。
・陸上警察のチー長官に早速、敬礼の姿勢を直されるドラゴン。この時のジャッキーの演技もさりげなくうまい。「腰を出せ、腹が出てる!」と指令棒で叩かれた通りに動く、パントマイムの一種のような動作は意外と技術が必要だろう。ジャッキーはこういう「操られてる」感を出すのが上手いよね。…しかし、あの極端な体勢の敬礼って、敬礼している相手を逆にバカにしているような印象を受けるけど、あれでいいのかね(笑)
・その陸上警察の制服だが、襟元に認識番号がついている。ドラゴンの襟についているのは
「213」番だったが、…ちょっと待て。酒場の大乱闘で大保がスパゲティをぶつけられた相手が221番だったよな。で、大口(マース)の襟を見ると、207番? ずいぶん番号が近いなぁ。 …各場面で確認してみると、移籍組も元からの陸上警察隊も、大体同じ200〜220番くらいの認識番号をつけているらしい。番号が少なすぎないか?
現代劇で香港警察は4桁の認識番号を持っていて、「警官1234号」などと呼ばれる。
( 『五福星』 のジャッキーも「警官7086号」がそのまま役名だった) プロAの陸上警察は恒久的な認識番号ではなく、その時々で番号が割り振られる仕組みなのだろうか…?(←それは認識番号とは違うと思うが…w)

■高級クラブで大乱闘

・さて、そんなドラゴンやジャガー(ユンピョウ)が、指名手配犯をかくまっているという情報を得て、VIP御用達クラブへ家宅捜索。しかしここでまたまた大乱闘。子供の頃、この乱闘を見ていて
「シャンデリアって壊れやすそうだけど、意外と丈夫なんだな」と間違った認識を得た子供たちは、きっと少なくないに違いない(爆)。
・それにしても、金属の帽子掛けを悪党の脛に思いっきり打ち付けるのは何回見ても痛そう; またあの時の効果音が「キン!」って、弁慶の泣き所を打った感がよく出てるんだよな。悪党がスネを押さえているのは演技か本気か…(笑)
・そしてこの悪党を階段の上で顔面キックした時に飛び散る、白い粉の凄さといったらw 後の作品ではちゃんと「埃が舞う程度」の量に抑えてある、ジャッキーアクションの定番の演出方法だけど、この時は初めてなので、かなりやり過ぎちゃってるよねぇ…( ^ ^;)

■盗賊フェイとアウトロー活動
・警察を辞めたドラゴンは、フェイ
サモハン)に「警察内部で銃を横流ししている奴がいる」と騙され、チー長官が受け取りに行ったライフル銃を強奪することにする。しかし、チー長官ほどの大物が、警察の銃を海賊に売っているなんて、普通に考えればすごいスキャンダルだぞ。ドラゴン、えらくあっさり納得しているけど;
・フェイに騙されたことを知ったドラゴンは、銃の隠し場所をリークして警察へ戻す。追われたフェイが建物の中に逃げ込み、ドラゴンとイザベラの会話を立ち聞きするのだが、ここはドラゴンの家という設定なのだろうか。あまり自宅という生活感のない部屋なのだけど。
チョウの手下たちに銃を突きつけられ、捕まったドラゴンとフェイ。ここでもフェイとドラゴンが口論を始めるのだが、この二人の過去に何があったのか、非常に興味深い会話を交わしている。斧で首を切られそうになったところを助けたとか; 彼らの関係は明確には明かされていないが、この後の敵を倒す技のシンクロ度や絶妙のコンビネーションを見ると、同じ流派の門下生同士だったのかな、という気はする。
・ちなみにこの時、フェイが
「殴って思い出させてやる!」と言って、二人で反撃を開始した時にかかるBGMがすごく好き。後に海賊島で、チョウに化けていたドラゴンがジャガーたちの危機に際し、海賊の親玉ローに後ろから足払いを食らわせて正体を明かした時にもかかった曲。一気にテンション上がる〜(笑)。

■海賊島へ潜入
・ホントにどうでもいいことだけど、海賊たちのアジトで、ロー親分がご機嫌で座っていたガイコツ型のデザインの椅子が、クールでカッコイイ椅子だなぁと思う(笑)。座る場所は普通の長椅子っぽいけど、背もたれのホネホネ感が現代のデザイナーズチェアーって感じがするな〜。
・衣装のデザインなども全体的にカッコイイ。ロー親分の赤い腰帯とか、ドラゴンの青い帯も個人的に好き。衣装ではないが、海賊島に上陸してからのユンピョウの男前度もうなぎのぼりに上昇です!( ^ ^ )
・ラストバトルで、ドラゴンとジャガーがすごく協力しながらローと戦っているのが好きなんです。あんなにいがみ合っていたのに、お互いの危機に必ず横から助けに入ってローの気をそらしていく。友情だな〜vv
(男同士の友情にはめっぽう弱いKさん)
・ところで、ドラゴンの正体を知っている海賊の手下、リーはどうやって警察から逃げ出し、島に戻ってきたのだろう。海軍提督はチョウと取引するのをやめたから、釈放はしなかったはずだし……謎だ。しかし、せっかく戻ってきても、ドラゴンやフェイの口八丁で裏切者に仕立て上げられてしまう。
「死んで潔白を証明します!」とジャガーの銃の前に飛び出したリーだが、銃声の後、カメラが寄ると、背中に長い切り傷があった。背後でロー親分が細い剣を抜いていたところを見ると、ジャガーに銃で撃たれる前に、後ろからローに切りつけられたのだろう。死因は銃と剣のどっちだったのか…。 ロー親分の冷酷さを感じさせますな…
・そのローの愛剣をたたっ斬ったのが、フェイの手にした青龍刀。あの太い刀を力任せに振り回して、やけっぱちな感じのフェイ…得意の両足とび蹴りが笑えるくらい綺麗に決まってたな。
(巻き込まれたドラゴンも吹っ飛んだけど/笑)
・フェイに対して何故か大口の鬼畜っぷりも笑える。フェイの逃げる方向に向かって手榴弾を投げまくり、
「お前、俺を殺す気!?」とまで言わせ、ロー親分を捕まえたフェイごと絨毯で簀巻きにした挙句、また手榴弾を投げ込むという…フェイに対して容赦なさ過ぎだろw

・そして、捕らえた海賊たちを連れて陸地を目指す…が、いまだ陸地は見えないラストシーン。冒頭で、海賊退治に出かけた海上警察が迷子になり、はるか遠方まで流された話をしていたが、どうやら方向音痴の航海士は大口だったようですねぇ…(爆)

■総括
「プロジェクトA」って、個人的にはアクション大作という感じがしない。世界観はスケールが大きく、セットにもお金をかけてるし、アクションもすごい。でも後のジャッキー映画を知っていると、アクション大作というなら「ポリスストーリー」の方が印象が強かったりする。「プロジェクトA」はそれよりは「コメディ映画」であり「冒険活劇」というジャンルに属している気がするんだな。だから吹替えで見るのも大好きだし、どの場面から見始めても面白いし、童心に返ってワクワクする。そーいう古き良き時代の冒険譚、なのではないかと改めて思いました☆

UP:2014年1月23日□□□ 


   蛇拳&酔拳(Blu-ray版)語り

2013年12月、ついに 『蛇拳』 と 『酔拳』 が
『スネーキーモンキー蛇拳』 『ドランクモンキー酔拳』 としてBlu-rayで発売されました! つまり、ジャッキーファン第一世代がかつてテレビで慣れ親しんだ、日本版吹替えも復活収録されたのです。TV吹替えの短縮バージョンに合わせて本編もきちんと編集したバージョンがボーナスDiscで付属。画像もキレイで、本当にありがたいですね♪
さて、そんなわけで、日本公開版としてのBlu-rayを見た感想や、作品に関する私的な意見なども語ってみよう。ホント、本レビューと違ってすごく個人的な思い入れとかどうでもいいコダワリポイントとか、そんなことしか語ってないページです( ^ ^;)

『スネーキーモンキー 蛇拳』
・「蛇拳」は日本公開時、日本独自の主題歌なども入れなかったため、香港版とほとんど違いがない。ラストバトルでバージョン違いがあったという噂もあるが、どうやら日本ではメディア発売がないらしい。このため、今回のBDの目玉は昔のテレビ吹替え収録ということになるのだが、これが残念なことに、Kの気に入っているシーンに限ってカットされているという…(涙)
師範代にいじめられて水瓶に頭から突っ込んで泣いてるシーンとか、一枚しかない掛け布団をパク爺ちゃんに貸してあげて、自分は丸まってムシロの上で寝てて、爺ちゃんが布団を返してあげるトコとか…ほとんど台詞がないので、吹替えで見なくても構わないのだが、あるはずのシーンが飛ばされて次の場面になってたりすると、ガッカリする。これまで、カットしてある吹替え版しか見たことがなかったので、全長版の吹替えがないかなと期待していたのだが…ノーカット吹替え版は元々、製作されていなかったということなのだね。残念…。
・なんと、サモハン役でお馴染み、
水島裕さんも端役で吹替えしている。ジャッキーを殴るチビの道場生、なぜか微妙に関西弁で水島さんだ; 声だけ聞いてると、いきなり「サモ&ジャッキー」の会話が耳に入ってきて、なんだかほっこり…(笑)

『ドランクモンキー 酔拳』
■広東語版、収録
・これまでのDVDでは広東語の音声欠損が多く、広東語で見ていると頻繁に英語音声に切り替わってしまうという残念仕様だったが、ブルーレィではやっと広東語全長版で収録。…のハズだが、バトルシーンの掛け声がちょくちょく英語音声w どうも英語音声になっていた欠損部分に広東語音声を填め込んだようなのだが、カンフーシーンの掛け声部分だけが広東語音声じゃないな、とわかる部分がある。天下のソニーともあろう技術者が、気が付かないという修正ミスならあまりにもお粗末だし、
「これくらいならいいだろう」と思って手を抜いたなら、ファンをバカにしてやがるな、と思うのだが。広東語好きのKにとっては唯一の不満といえる。

■日本語吹替え版、2種類を収録
・Blu-ray本編には、既発のDVDと同じ、2000年代になって新録された日本語吹き替えを収録。特典のボーナスディスクに、昔のテレビ放送時の旧吹替え版の入ったテレビ短縮バージョンが収録されている。旧録には日本公開時の主題歌
「拳法混乱(カンフュージョン)」が入っている。
・旧録のオープニングはジャッキーの酔拳演舞に乗ってカンフージョンが流れる
(殺し屋鉄心が依頼の相手を殺す場面はカット)。冒頭からテンションMAX! スタッフロールが漢字ではなく、英語表記なのがちと残念だが…このOP、好きです( ^ ^ )。
・旧録を聞いていると、石丸さんの掛け声が必要以上に裏声になっていて、ブルース・リーの影響が感じられて興味深い。当時はカンフーバトルというと、ブルース・リーの怪鳥音のイメージが絶大だったんだろうなぁ。次の「蛇拳」辺りではだいぶ石丸カラーになっているが、酔拳はまだ初めてのジャッキーだったから、戦いの掛け声が
「アチョ〜」っていう裏声に近いんだね(笑)。
・新録と旧録は、吹替えの台本も書き直してあるので、台詞の内容もかなりの違いがある。時代のせいもあり、旧録はどうしても野暮ったい部分があるんだよな。飛鴻
(フェイフォン)を「ヒコウ」と読んだり、ジャッキーたちの表情や仕草と台詞の内容が合っていなかったり。訳し方が大雑把で、単語の使い方を間違えているとか、主語と述語で文脈がずれてるみたいな文法的な誤りも散見される。一方、新録の台本は広東語の台詞に忠実に訳してあるので、場面もわかりやすいし、必要な場面でちゃんと台詞が入り、映画の雰囲気に合っている。その上で声優さんたちのアドリブも効いていて、現代的に洗練されていると思う。
しかし、聞き比べてみると、新録の台詞回しは元映画に忠実であるがゆえ、説明的で面白みに欠けるのも事実だろう。旧録は文法的には間違ってるけど、リズム感が豊かで、時々、非常に印象的な名台詞が飛び出してくる。
「そうは酢豚の天津丼」とか「酒は男を磨く水。心の汚れを落とす水」とかね。新録では印象にも残らないドラ息子がオカマキャラだったり、新録の「チョイ師匠」って誰かわからなくても、旧録を聞いていた世代は「棒のオッサン」ですぐピンと来る。どちらも一長一短があるわけで、どちらが好きかなんて野暮なことは言わず、せっかく2種類も収録されているんだから、それぞれの良さを楽しめればいいかな〜、と思う( ^ ^ )。

■ジャッキーについて
・酔拳はジャッキーに始まり、ジャッキーに終わると言っても過言ではない。香港では「蛇拳」でブレイクしたジャッキーを、さらに本物のスターとして全面的に押し出すつもりで作ったのだろうな、と思う。途中、蛇拳ポーズで戦うジャッキーのシーンがあるが、当時の香港で「蛇拳」を見た人に対するサービスシーンだったのだろうね。酔拳で初めてジャッキーに出会った日本人にはわからなかったことだけど。
・ジャッキーが演じた黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)というキャラは、前半は自信過剰で生意気で、いかにもその辺の若い兄ちゃんといった設定である。中盤で惨めな敗北を喫し、心を入れ替えて真面目に修行に励む辺りから、グッと好感度が上がってくるのだが、前半で人を馬鹿にしたような小生意気な言動の中で、これはイカンな、と思う表情がある。見ている側にちょっと不快感を与える生意気さがちらりと見えるのだが、面白いことに、これ以降の作品ではジャッキーはこういう表情は作らない。
「この表情は観客の共感を得られない」ということを、自分で客観的に映像を見て気付くのか、周囲に指摘されたのかはわからないが、ちゃんと理解して演技を変えているようである。大きな欠点ではないから、気付かなければそのまま繰り返してもおかしくはないのだが、その後の 『ドラゴンロード』 や 『ポリスト』 などで、勝気で怖いもの知らずな若者を演じているときは、もうこういう表情は見当たらない。そういう演技の面での進歩もたいしたものだなぁと、ひそかに思う。

■無銭飲食禁止!
・私的見解で申し訳ないが、酔拳ファンにはわりと人気の高い前半の食事シーン、個人的には実はあまり好きではない。とにかく食べ方が汚いし、食い逃げする気満々で食い散らかしてるわけだから、見てるといつも若干、気分が引いている。まぁ、もともと大食い選手権みたいな映像も嫌いなので、あくまで自分の好みの問題なのだけれど。
・腹いっぱい食って、腹帯を緩めてパンパンになった胸骨がヒュルルとしぼんでいくあの場面、一体どういう体の構造なのか、見る度に謎だ。お腹を引っ込めたら、普通は臍の辺りだけではなく、胸の下も引っ込んで肋骨の形が見えるはずだけど、左右の肋骨の間
(胃の位置なのか?)がそのまま膨らんでいる。腹部だけ凹むという異次元体質w  『笑拳』 のラストバトルでも、この胸骨が膨らんで腹だけへこむという不思議な技で攻撃をかわしていたので、ジャッキーの特技なんだろうと思うのだが…w
・そんな飛鴻だが、金を払わずトンズラしようとして店の連中に捕まってしまう。香港版では食ったばかりのものを次々に吐き出す場面があるのだが、旧TV版ではリバース部分のみ、きれいに抜き落としてある。後半で棒のオッサンと戦うシーンでも、牛糞に顔を突っ込む数秒のシーンだけがカットされていたり、別作品 『拳精』 で壁の隙間に隠れた精霊たちに主人公が尿をひっかける場面だけカットしていたり、当時のテレビ局の編集の細かさにはちょっと感心する。
こんな下品なシーンをお茶の間の子供たちに見せられない、というテレビ局の良心だよな。そういう、放送する側のこだわりも感じられるから旧録って面白いし、当時の編集をそのままに、きれいな画質でちゃんと作り直した今回の吹替え版は価値があると思える。

■鉄心にフルボッコ
・蘇化子にムリヤリ弟子入りさせられた飛鴻だったが、おとなしく従うはずもなく、蘇化子を水瓶に押し込めて一度は逃亡する。逃げ出した先で濡れた服を乾かしている場面で、広東語場面でのみ、飛鴻が「黄飛鴻のテーマ
(将軍令)」を鼻歌で歌っているのがなんだか好きだ。(日本語吹替えでは歌っていないんだな、これが;) 酔拳のテーマBGMで、劇中でも何度かかかっている。中国の古典民謡楽といったところで、中国人ならつい鼻歌が出てしまうのかもしれない(笑)。その後 『笑拳』 などでも、女装したジャッキーが歌詞を勝手に作って歌っていたもんな。
・そこで出会った殺し屋・鉄心に打ちのめされ、自尊心がズタボロになってしまった飛鴻。Kは幼い頃、初めて見た 『酔拳』 で一番印象に残っているのが、この股くぐりのシーンである。どうしてこんなに悔しそうに股をくぐるのかわからなかったんだね。子供だから、そういう行為は楽しい遊びだと思っている。人に屈するとか従うための行動である、という認識がなかったので、泣くほど悔しいことなのかという驚きがあったのだろう。自分にとっては「ジャッキー」の記憶の原風景とも言える強烈な印象で、プライドというものを教えられたシーンであると思う。
・またこの時のジャッキーがすごくイケメンである。髪の毛もいい具合に伸びていて、ここから後半にかけてのジャッキーは、すっごくカッコイイのだv 服を燃やされたり、砂まみれになって地面に突っ伏している時の表情なども、とてもいい演技をしている。
・ついでにその後、蘇化子の元に帰ってなんとかご機嫌を取ろうとする飛鴻、師匠が乾かしている服を
「俺がやります」と預かろうとしたが、蘇化子が離さず一瞬、引っ張り合いになる。その時、とても悲しそうな顔をするジャッキーがまたK的なツボである(笑)。弟キャラというか、母性本能をくすぐるというか。それも一瞬で、蘇化子が手を離して服を渡すと、嬉しそうな笑顔になるのだ。この「酒を酌んでご機嫌をとる」から「服を代わりに乾かします」の流れで飛鴻が師匠に謝り、師匠も許したという意味になるのだが、ジャッキーのくるくる変わる表情やユエン・シャオティエンの肩の力の抜けた仕草がなんとも魅力的で、いかした演出だと思っている( ^ ^ )。

■アクション
・さて、メインの「酔拳」アクションについて。酔拳の演舞や立ち回りについては、もちろんジャッキーの意見も大いに取り入れられていると思うが、
ユエン・ウーピンの武術指導は素晴らしいなといつも思う。監督としての彼の力量は、「蛇拳」「酔拳」に関してはジャッキーのキャラにハマっていて成功していると思うが、その他の作品を見ていると正直、疑問を感じている(余談なので省くけど)。でも武術指導の腕はやはり、超一流だろう。空間を大きく使うというのか、画面いっぱいを使った躍動感あふれる立ち回りを演出し、しかも個々の動きのムダを感じさせない。ジャッキーの腕や足がまっすぐ伸びて、手足が長く感じるし、京劇的な動きも殺陣にスムーズに組み込まれている。
・実は敵役の
黄正利(ウォン・チュンリー)の器用さというか、殺陣に合わせるレベルの高さも多分にあると思うのだけど、足技が的確にジャッキーを掠めている。それをかわすのにジャッキーのアクロバティックな動きがうまく噛み合っていて、これまではどうしても唐突な印象もあったバク転などが違和感なく「攻撃をかわす手段」に感じられるのだ。…なんか、スゴイな〜。
・そして、きちんと酔拳の「型」を実戦の中に取り入れるように殺陣を作っている。演舞の中で見た動きが「なるほど、こういう攻撃に使うのか」と納得できる部分が多く、そういう意味でも無駄がない。
・闘いの後半、黄正利の両足飛び蹴りがジャッキーの喉元部分にまで炸裂するのだけど
(これ、すごいよな)、渾身の蹴りに対して吹っ飛ばされそうになりながらも、ガッと踏みとどまり、「カァァ〜〜!」と吼えるジャッキーの迫力がもの凄い。まさに「気炎を吐く」ってこういうことなんだなと…ここだけは原語(広東語)で見たいね! 圧倒される音響効果だよ!

■その他、いろいろ
・前半、市場でナンパしたことなどを叔母から父にバラされた飛鴻が、父に激怒される場面で、両手で自分の耳をつまんで跪いて謝っている場面。確か、ユンピョウも何かの映画で、誰かに怒られているシーンで自分の両耳をつまんでいたが、これは人(親)に叱られる時の中国人の習慣なんだろうか。この仕草にどういう意味があるのか、知りたいなぁと思う。
・棒のオッサンから酒を奪って帰ってきた飛鴻だが、蘇化子は別れの手紙を残して旅に出てしまった後だった。手紙と共に置いていった酒のヒョウタンはあちこち色が剥げている。旅に出た蘇化子の手には、色の剥げていないヒョウタンがあるので、新しいのを持っていって、使い古しを置いていったんだな〜と思った。師匠の形見ともいえるヒョウタンを、飛鴻は鉄心に投げつけてあっさり割られてしまう。……まぁ、使い古しだからいいけど(笑)。そして感動的な別れの後、すぐに師匠と再会したんだから、ますます、別にいいけどね(爆)。

…他にもいろいろメモに書き出したけど、あまりにもどうでもいいことばかりなので、ここで終了します…( ^ ^;)


UP:2014年3月14日□□□ 


   ツイン・ドラゴン(Blu-ray版)語り

Blu-ray
『ツイン・ドラゴン/エクストリーム・エディション』 (2014)について語ってみよう。日本仕様では長らくDVDでも未発売だった作品だが、待った甲斐があり、これまで作られた3種類の日本語吹替え版(フジテレビ版、テレビ朝日版、VHS版)に加え、英語吹替えバージョンも特典収録されるという、ファン大満足の一品となりましたv
ツイン・ドラゴンの広東語版は、ジャッキーの声を充てている人がいつもと違うので、特に低音の発声にちと違和感があるのだが、大体同時期に作られた日本語吹替えの3パターンは、ジャッキー役はすべて同じ、定番の
石丸博也さんだが、それぞれに違いがあって、聞き比べると面白い。本作はジャッキーが双子なので、一人二役の台詞回しなども楽しく、吹替えのバージョン違いは魅力のひとつである。今回はその辺りを中心に呟いてみたいと思う( ^ ^ )。

日本語吹替え版(VHSビデオ版)

・日本語吹替え版ビデオとして作られたもので、吹替えとしては唯一、ノーカット完全版だ。DVDの収録はなかったが、レンタルビデオなどでよく見かけていたので、一番流通していた吹替えバージョンと言えるだろう。主要登場人物の名称はジャッキー、ターザン、サリー、バーバラ。
(ジャッキー二役目のマー・ユー(ヨウ)はどのバージョンも同じ名前なので省略)
・自分の中ではこれがスタンダードで、他バージョンと比較するベースになっている。

日本語吹替え版(フジテレビ版)
・フジの吹替え版。主要登場人物の名称はドラゴン、チータ、ランラン、バーバラ。
・バトルシーンなどが一部原語、また放送時のカットシーンなども原語に戻る。個人的に、アクションシーンで急に吹替えから原語になるのはちょっと寂しい;
ドラゴンはちょっと田舎訛りの発音や語尾が特徴で、気取りげのない訛った感じが大好きv 会話のテンションが上がる場面では、石丸さんがノッてるな〜、と思う(笑)。石丸さんの吹き替えは、大体いつもリズム感があって非常に楽しく、安定しているのだが、さらに上乗せでノリがよくなることがある。特に、会話の相手と調子が合うと加速するらしい。このバージョンではチータ役の声優さん(
龍田直樹)の台詞回しがトボけていてリズム感があるので、その影響もあると思う。音楽で言えば、セッションして魅力が増す感じ、かな〜。
・また、ランランの声がとってもアニメ声で笑える。彼女の声だけ聞くと、アニメの絵が動いているみたい。セクシーな大人っぽい肉体美に可愛い少女の声…やっぱりアニメだ( ^ ^;)。可愛くて、聞いているとなんか癒されるけど(笑)。
・オリジナルのBGMの音声が大きめなのも特徴か。見てて
「あれ、このシーンでこんな音楽、入ってたっけ?」と思い、他のバージョンで気をつけて見直すと、薄〜くバックで流れていることを再発見したり。そういう音楽はオリジナルの音が小さいみたいだから、何かのタイミングだろうとは思うのだけど。

日本語吹替え版(テレビ朝日版)
・テレビ朝日の吹替え版。主要登場人物の名称はジャッキー、ターザン、ランラン、バーバラ。
・カットされているシーンがとても多いのが残念。放映時間はほとんど同じはずなのに、広東語に戻る場面がフジ版より多いと思う…
ターザンの声はフジ版と同様、コミカルで情けない調子で喋っているのが好きである。ビデオ版の声はちょっとかっこよすぎるのかも(笑)。
・一方、ランランの声は落ち着いた大人っぽい声になっていて、イメージがガラリと変わる。個人的にはこのランランの吹替え、わりと好きです♪
・脚本は3バージョンの中で一番好きかな。セリフに充てる言葉選びが自分の好みに合っていて、
「あ、このセリフ回しが一番しっくり来るな」と思う場面が多い。それだけに吹替えされていないシーンが多いのが、余計に残念なのである;

米国版(英語吹替え版)
・USで発売されている(?)アメリカ版です。明確にバージョン違いなので、配給会社も違うし、テーマ音楽も違う。本編は基本的に短縮バージョンで、香港版のあちこちをカットして短くしている。まぁ見慣れた香港版の方が好きだが、グダグダなシーンが少ないのでテンポ良く見られるという利点はある。ただし、「そこカットして、ここは残すんだ」と意外な部分も散見される。
・主要登場人物の名称は英語でブーマー(不良ジャッキー)、ジョン・マー(御曹司ジャッキー)、タイソン(ターザン)、タミー(サリー)、バーバラ。バーバラだけは不動です(爆)。
・ジャッキーの声はジャッキー本人による吹替え版。今となってはジャッキー本人の声も頭にインプットされているため、英語だけど彼の生の声でこの作品が見られるというのはなんだか新鮮で、でも違和感もなくてとても嬉しい。ブーマーが鼻を啜るところで豚鼻になっちゃってるのがちょっと笑える。
・元が広東語なので、ジャッキーのセリフも早口でセリフ量が多いんだよね。最近の英語圏の作品に出演する時より、はるかに英語で喋っている場面が多くて、これは吹替え大変だっただろうなぁ…と思う。それも含めて、ジャッキーが英語をまくし立てているのが新鮮なのですv
・英語版はなぜか、物語の始まり(出生年)が
「1965年」と明記されている。香港版は「28年前」でジャッキー28歳設定だったが…(あのストーリー展開なら、30過ぎてても別にいいと思うんだけど) えーと、ツイドラ製作が1991年だから、65年生まれだと26歳設定? アメリカ公開が何年だったかによって、物語当時の主人公の年齢が変わってくるんだな;
・英語版はBGMがほとんどすべて違う。権利の関係なのかな? テーマ音楽になっているオーケストラの音楽はオリジナルだろうからともかく、ベートーベンあたりのクラシックならそのまま使えるんじゃないかと思うけど、ピアノで弾く音楽なども全部違っているので、違和感ありまくりw 香港版も音は後から充てているので、指の動きと合っていない部分はあるが、多分その曲を弾いているんだろうとは推測できる。でも英語版では指と音楽が全然違う曲らしいので、弾いてるフリをしているみたいで興ざめしてしまうだろう…
・ちなみにジャッキーは本当にピアノが弾けるらしい。他のドキュメンタリーで、ピアノを弾いているのを見たことがある。さすがに(京劇)技芸学校出身なら、簡単な楽器くらいはひととおり出来るのかもしれない。
(←そうなのか?w) もちろん、プロというほど本格的な腕ではないだろうが、ベートーベンの簡単な曲くらい弾けるんだろう。
・香港版の音楽はわりと好き。特にラスト前、マー・ユーが危機に陥ったシーンで流れるBGMとか、かっこいいのに、英語版では全然変わってしまって
「う〜ん…w」と思う。でも前半のカンフーバトル時のBGMなどは、アクション映画っぽいテンションの音楽で、これはかっこ良くて好き♪ 全体的に米国版はコメディ部分を極力排除し、クールなアクション作に仕立てたいという印象を受けるのだが、そこは何しろ香港映画。香港映画のごった煮感に慣れてしまったKにはちょーっと違和感がありますかねぇ…(苦笑)


全体的な感想
さて、そんな「ツイン・ドラゴン」を改めて見直して、本レビューですっ飛ばしたことや、新たに気がついたことなど。

■冒頭
・双子の赤ちゃんを出産した病院(産婦人科)に、手錠をかけられた犯人が外傷(外科)で運ばれてきているが、こんな凶悪犯をなぜ一般病院に連れてきたのか、ちゃんと警察病院へ行けよ…と思う。28年前にジャッキーを誘拐したこの犯人は、後に彼
(というかマー・ユー)が脱走に協力させられる大ボスである。ということは28年間、刑務所暮らししていたのかな?(移送中だから再逮捕されたのか?) …どれだけの懲役か知らないが、相当重い罪を犯している人だよな…。
・この凶悪犯に、胸を撃たれても平気で数階の窓から飛び降り、車に捕まって引きずられている刑事さん、なにげに本作で一番タフなヒーローなんじゃないかと思う…w
・育ての母の墓参りをするジャッキーの隣にいるターザンが、墓地で見とれる喪服姿の女性。いつも意味ありげだと思うのだが、結局何の伏線もない。きっと彼女もワンカット出演だけの有名な監督さんか女優さんなのだろうね。

■二人のジャッキー
・香港下町育ちのジャッキー
(広東語名はボーミンは、暗黒街というほどの裏社会では生きていない様子だが、友情に厚く義理堅い。女の扱いも慣れているようで、ちょっと天然で奥手なマー・ユーとは対照的だ。性格の違いはともかく、体質的には双子なので似ているかと思うのだが、ジャッキーだけが鼻をよくすすり上げる癖がある。マー・ユーと連動でくしゃみをすることも多く、それもジャッキーが先なので、ジャッキーの方が鼻炎がちな体質なのかもしれない…?
・癖といえば、広東語でしょっちゅう
「レンレゴレン」と呟く口癖もある。どんな字を充てるのか不明だが、深い意味はないようで、いろんな場面で独り言で呟いたり、相手に対する罵り言葉として使っていたりする。子供時代の最初から呟いていた; 大体、「やってやろうじゃねーの」とか「クソッタレ」といった意味合いになるようだ。
・一方のアメリカ育ちのマー・ユー。ジャッキー本人が当時、来日した際に
「僕が音楽家なんて、全然似合わないだろ」と笑っていたが、まぁ上流階級って雰囲気ではない(笑)。でも英語も使うし、絹のシャツも着るんです( ^ ^ )。マー・ユーはジャッキーに比べると特徴が少ないが、ひとつ面白くて好きなのが、護送車を奪還する際に胸ポケットから出したサングラス。丸い小さい青グラスで、ジャッキーが好む大きなティアドロップ型ではない。変装のつもりなのか、このグラサンとシャツの襟で顔を隠して運転するのだが、護送車に乗り込んで大暴走して場面で、この眼鏡が鼻からずり落ちたり掛け直したりしているのがコミカルさを際立たせて可笑しいのだ。このメガネの形だから出せる面白さだろうなぁと思うと、非常にナイスな演出用の小道具ですよね(笑)

■アクション
・この映画って、アクションもいいです。ベースはジャッキーアクションで、そこにいろんな演出者の味が加味されている感じ。護送車奪還のところのカーアクションとか、意外と迫力あってすごいな〜と思うし、ジャッキーのカンフーもちょっと違う演出が新鮮だ。特に、自動車テスト工場で暑い部屋と水浸しの部屋を交互に走り回っている時、暑い部屋に入ってきた敵にジャッキーが蹴りを入れる場面。相手の蹴りをまず右足で受け止め、そのままその右足を逆方向から返して相手を払いのけ、さらにまた元の方向からパーンと蹴り上げて相手に命中させるという、ひと蹴りで三段階の切り替えキックをするんだよな。カ、カッケー;
・自動車工場でのラストバトルはとにかくスゴイ。無敵のジャッキーがやっと全力で闘う場面が到来ですな(笑)。敵が落とした銃を拾わせまいと、足で押さえてキックするステップを踏むような攻撃とか、タイヤとか自動動作のパイプとか吸引機とか、ジャッキーらしいアクション満載だ。ターザンが隠れていた車が急発進し、ジャッキーに突っ込む場面とかも好きだな〜vv

■総括
ジャッキーは元々、二面性がある。強い敵に対し、臆することなく挑む「闘う」ジャッキーと、ヘタレで弱気な「逃げる」ジャッキー。普段は場面に応じて、それらのジャッキーが入れ替わって一人のキャラクターになっているのだけど、「ツイン・ドラゴン」は別々の人格として独立している。だからどちらのジャッキーも我々がよく知っているジャッキーで、別の人格と言われてもなんだかすんなり納得できるのだろう。特に、ヘタレなマー・ユーは全然強そうに見えなくて、ロッキーに弟子入り志願されてオドオドしていたり、ギャングに運転を強要されてビクビクしている姿なんかが本当に上手いなぁと思う。これがアメリカのアクション俳優、例えばスタローンブルース・ウィリスとかなら、滲み出る迫力とか覇気みたいなもので、どうしたって弱そうには見えないだろう。
弱いジャッキーがどこまでいっても弱いままなのが面白いし、だからこそ、最後に強いジャッキーが閉じ込められて、弱いジャッキーがやられそうになる場面ではハラハラする。このジャッキーには戦闘スイッチがついていないのだからね; ここまで闘争心のかけらも持っていないジャッキーというのも、最初で最後なのだろうな。

改めて、キレイな画質のBDで見ると、合成が荒いとか、二人のジャッキーが向かい合う場面で、後ろ姿の方がどうしてもジャッキーではなく、
マース君の後ろ姿にしか見えないとか、いろいろあるけどね(笑)。ともかく、これはジャッキーの魅力を前面に押し出して成功している、悪くない作品だと納得しなおしましたよ〜( ^ ^ )v


UP:2014年5月26日□□□ 


   スパルタンX コネタ語り

スパルタンXについての、本レビューには入れるほどでもない、どーでもよいコネタ語りです。例によって箇条書き形式。なるべく時系列に従っていますが、テーマをまとめる関係上、話題があちこちに飛びます。本作を何度も見て細かいシーンまで記憶していないとわかりにくいと思うので、よりコアに楽しみたい方だけお立ち寄りください。


■冒頭
・OPにニワトリの鳴き声から入るという、あまりにも気の抜けた始まり方に毎回苦笑してしまう。続いて目覚まし時計の音で起床。冒頭から観客を引き込もうという狙いはまったく感じられないユルさだが、スターだったジャッキーやユンピョウだからこそ、こんなベタな始まり方でいいのかも…と思う。ジャッキーたちがどんな家に住んで、寝起きの姿はどんなだろうか、朝からカンフーの練習をしているのかなとか、そういう日常生活を
(実際の姿ではないにせよ)擬似的に垣間見ているような気分になれる。……サモハンが意図的にそう演出したわけではなく、結果としてそうなっただけだろうとは思うんだけどね;
サモハンの、
「観客の潜在的な要求」を読み取るプロデュース能力は、ことジャッキーを演出する場合に限ってはかなり的を得ていたなぁ、と大人になってから思う。もちろん、ジャッキー自身も観客の期待を的確に読み取り、それに応え続けてきたからこそ現在の地位があるわけだが、違う視点から彼の魅力にアプローチし、観客に提供してきたサモの功績も無視はできない。最たるものが、「サイクロンZ」でのビッグ3の対決シーンだろう。当時、ジャッキーとサモとユンピョウが闘ったらどうなるのか、というのは、ファンなら多少なりとも見てみたい(でも本気バトルで誰かが負けちゃうシーンは見たくない…)夢の対決だったろう。五福星やファーストミッションでのジャッキーの役柄とか、殺陣ではジャッキー監督の際にはあまり見ることのない振り付けで、ジャッキーの身体能力の凄さを別の面から演出するなど、当時はいい意味でジャッキーの引き出しを多くしてくれていたと思う。
…ただ、「ナイスガイ」の頃にその方程式が通用したとは思えないし、ジャッキー出演以外のサモハン監督映画とかを見る限り、そこまで手放しで褒めてもいいのかな…という迷いもある( ^ ^;) サモの映画人としての能力って、過大評価なのかそれとも過小評価なのか、自分の中で折り合いが難しいんですw
・ところで、トーマス(ジャッキー)はアイマスクをして寝ているが、夜遅くに帰って朝8時には起きているのに、アイマスク必要なのかな…

■スパルタン号
・移動キッチン車・スパルタン号。店仕様への変形が無駄にオール自動なのが笑えるが、ジャンプ力などがハンパない。無断営業で警察に追いかけられることも想定して改造しているのだろうか(笑)。
・ホットドッグやハンバーガーの他、炒飯や春巻きなどの中華メニューも多い。エプロンにも漢字で
「食」と書いてあるなど、中華をウリにした屋台らしいが、あんな大鍋いっぱいのチャーハンや揚げ物などを車内のガス台で作っているのだろうか…料理担当のデビットは、いつもパテしか焼いてないようだが(笑)。
・営業場所に応じて、車の周りに小型ベンチを並べることもあるらしい。そう、ジャッキー映画の代名詞とも言えるあの便利アイテム、床机です!(爆) シルビアがさらわれそうになった時、サモが武器にしてましたね〜( ^ ^ )
・スパルタン号ではないが、サモの車とトーマスたちの隣人の車が可愛くて好き。シルビアが隣人から車を盗んで、サモの車と衝突するシーンは、車が両方ともクラシックな型で、丸っこくてカワイイv 街中を走っている他の車はもっと近代的なので、サモが好んでこういう異国情緒の感じる車と石畳の街角風景を演出したんだろうなと思う。ここの場面は風景として何だか好きだ♪
■スペインのアパート暮らし
・トーマスたちが住んでいるのは、部屋数は多くないが、ソファセットや木人を置いても、スパーリングスペースが取れるほど広いアパートだ。想像するに、元々はデビットと父が暮らしていたが、父親が入院し、一人暮らしになっていたデビットのところへトーマスがやってきて、二人で暮らすようになった…ってところかな?
・室内のクッションのカラーチョイスなど、男二人暮らしにしては意外とおしゃれ。でも寝る時は二人とも、着古した白いTシャツの袖の部分を切り落としたような、ざっくばらんな衣装だね。ちゃんとしたパジャマとかを着てない辺りが、リアルな若者っぽくてなんだか微笑ましい。
・お泊りしたシルビアの誘いに対して、声をハモらせて
「ご辞退」した仲良しコンビ。しかし二人の寝室、前夜は仕切りがなかったのに、翌朝金が盗まれた直後は、部屋の中央に仕切りができている。部屋に戻った後、どういう揉め事があって仕切りを作ったのか、あるいはお金を盗むために忍び込んだシルビアが作っていったのか、謎だ;

■私立探偵モビー
・大量の鍵束を持ち歩いて、どこの鍵でも開けられちゃうとか、「五福星」の泥棒キャラと若干の被りが感じられる。終盤の古城侵入の場面でも、鉄製のスリッパ?を履いて金を拾いに来た見張り番を一撃。意外と
「探偵七つ道具」を持っているのか? 実はトーマスが壁上りで使用した縄付きのカギ爪も、モビーの七つ道具から借りたんじゃないかとひそかに推測している(笑)。
・最初に伯爵の執事がグロリアを探す依頼に来た際、連絡先として渡された紙に水をかけるくだりの意味がどうしてもわからん…紙には小さく数字が書いてあるようなのだが、モビーは水をかけて何も浮かび上がってこないのを見てガッカリしている。紙には結局、連絡先が書いてなかったのか、モビーが老眼で見えなかっただけなのか…オチがどこにあるんだw
・モビーがデブを探して訪れる酒場は、太っちょ専門のバーなのか? カウンター内の眼鏡男だけ痩せているが、奥にいる客はみんな太っちょで、揃って仲がよさそうだ。この辺りの設定がよくわからない展開とか、笑いどころが微妙にわからないサモの演出が、ラッキースターシリーズほどではないが、行き当たりバッタリ感を感じずにはいられない要因だろう;

■トリオとマドンナ
・そんなモビーと実は知り合いだったトーマスとデビット。ディスコへ呼び出されて渋々近況を語るのだが、真面目なデビットはうまく話をかわせない。デビットの父の具合を聞かれて
「前よりひどい」と答えるトーマスに、「ええっ!? あれ以上ひどくなったの?」(←失礼だろ;)と驚くサモのまん丸な眼と、吹替えの水島さんの頓狂な声がめちゃくちゃツボである(爆) (ちなみにその後、「ね〜教えて〜」とシルビアの居場所を聞こうとする水島さんの言い方も、何回聞いても笑える)
・シルビアを助け、一緒に仕事をすることにしたトーマスたち
(バイトに雇おうとトーマスが話を振った時の、デビットの察しの悪さって;)。可愛い看板娘が入ったおかげで二人の生活もさらに楽しくなったようで、スケボーで遊んでいたり、なんか青春だなぁ〜と言う感じ。いきなり浜辺で馬に乗っていたりするカットは「ん、どうした?」と思ってしまうけど、憧れのマドンナを囲む二人(+モビー)の構図は若々しい爽やかさがあっていい♪
・ところで、ユンピョウは腕時計を右手に嵌める派なんだなと、本作で初めて気がついた。トーマスが左手に腕時計をつけているので、コントラストをつけるために右手に嵌める役なのかと思ったが、「五福星」や「七福星」で確認するとやっぱり時計は右腕なので、ユンピョウ自身が普段から右手につけているのだろう。普通に右利きなんだけどね。腕時計を左右どちらにつけるかは、最初にたまたまつけた方への習慣がほとんどのようなので、深い意味はないのだろうが…育ちがほぼ同じジャッキーやサモが左につけるのに、ユンピョウが何故たまたま右につけたのか、なんとなく不思議だ。
・シルビアを狙う連中から彼女を奪還し、トーマスたちはスパルタン号でバルセロナから大脱出。追っ手の車を次々に撃退し、運転席で「どうなった?」と尋ねるトーマスに、身を乗り出して「やっつけたぞ!」とモビーが答える。乗り出しすぎなモビーをトーマスが二度見した
(演技こまかいな/笑)途端、車が跳ね上がってモビーが転げ落ちた! …いや、追っ手はもういないんだから、落ちたら助けてやりなさいよw ほったらかして走り去るトーマス・デビット・シルビアの三人が鬼畜過ぎるわ;;
・しかしそこは不死身のモビー、トーマスたちより早くアパートまで戻ってきて、勝手に鍵を開けて入り込んでいた。モビーのちんぷんかんぷんな説明を聞いても、結局何が起こっているのかわからない一同の元へ、宿敵ベニー・ユキーデらが初登場。窓から逃げ出してトーマスが
「モビー、早く来い!」と呼ぶところ。日本語吹替え(新録)だとここだけ屋外らしい反響が入っていて、芸が細かいなぁ…と感心してしまった。

■古城侵入作戦
・デビットの父とグロリアを連れ、救急車で病院を出て行こうとすると、門が巨大ブルドーザーで塞がれている。門番の人はどうなったのだろう…というか、こんな派手なことしてたらすぐ警察が駆けつけるぞ。ここからのジャッキーとサモハンの台詞の遣り取りが好き。ここからラストまでを何回も見直しちゃう♪
・ここでユキーデに不意打ちを食らった時の、ジャッキーの右頬の痣のつけ方ってリアルだな…と思う。
・攫われた二人を追って、三人が城へ突入作戦を敢行。侵入方法を議論している場面での会話は、ビデオやDVDや吹替えなど、それぞれ訳が大分異なっている。個人的には
(トーマス)「みんな(侵入したい方法が)バラバラかよ。ここは3人で団結しようぜ」 (モビー)「バカが3人団結したって、いい知恵は出ないだろ」 って訳が最高だったな(笑)。
・ちなみにここでトーマスが着ている薄茶の革ジャンもカッコよさそう。暗がりのシーンでしか着ておらず、動き出すともう脱いでしまっているので、ちゃんとデザインを見られなかったのが残念。
・トーマスとモビーは協力?して侵入成功。トーマスは
「ここから二手に分かれよう」と言って先にドアの外に出て行く。頷いて風呂場のドアを開けて入っていくモビーのギャグは、ベタで面白いです(爆)。
・先に階段を下りたトーマスは、廊下を歩いてくるグロリアと見張りに気づいて、階段の上の壁に隠れる。そこへひょこっと降りてきたモビー、戸口の上から手が伸びて彼の頭をはたき、モビーが見上げて
「何やってんだ?」と声をかけて敵に気づかれるのだが、ここで頭をはたく手が素手なんだよな; トーマスは指なしの皮手袋を嵌めているハズなんだけど… 前後のシーンでもちゃんと嵌めているのに、モビーを小突いた手だけ嵌めていない。一体あれは誰の手だったのか…古城のミステリ〜〜(笑)

■ラストバトル
・さて、いよいよラストバトル。ここからは役名抜きで実名で語っとこう。個人的に、ベニー・ユキーデよりもキース・ヴィタリをこてんぱんにやっつけたかった、とおいらは思う。こいつ悪い奴やで〜。病院前でもサモ、ジャッキーを本気蹴りしてさっさと立ち去り、食堂で捕まったジャッキーが伯爵にスープをかけると、彼を背中から蹴り倒して髪を掴み、引きずり起こしているのも実はキースだ。無口で無表情で、ほとんどやられるシーンがない。ベニー・ユキーデはなんとなく振る舞いが紳士的だし、ちゃんと正々堂々の勝負で殴られたりやられたり、命乞いしているので敵キャラでも好感が持てるが、キースは一方的にジャッキーたちを蹴飛ばしてばかりで憎々しいくせに、ちゃんと敗北するという場面を見せない。まぁ彼は俳優ではないので、殴られたふりとか負ける表情といった演技力がなかったのだろうと思うが、ジャッキーにあれだけ酷いことをしておいて、ガチンコ勝負になると花瓶で殴られて終わりという、ある種の「逃げ」のような退場はちょーっと納得がいかないなぁ…(苛)
・一方、ユキーデは格闘家にしては演技的に器用と言えるだろう。あれだけ強そうな雰囲気や迫力から、ダメージを受けた時の動き方など、なかなか上手い。あの
サスペンダーをパチン!がいいです(笑)。
・ユキーデはズボンの上からでも太股の筋肉の凄さがハッキリ認識できるけど、ジャッキーは本当に着痩せするタイプなんだよな。短パンになると筋肉あるなって思うけど、布で覆われるとなんだか細く見える。筋肉が柔らかいせいもあるんだろう。上半身も、タンクトップになると一気にガタイがいいと感じるようになる。しかしこれ、腹にパットとか入れられないし、スタントも使いづらいといったリスキーな衣装でもある。…その心意気がカッコイイぜ、ジャッキー!
・塔ではないのだが、サモがシルビアたちを助けに階段を上っていき、ジャッキーが残って敵と闘うという構図は、ちょっと「少年ジャンプ」っぽい(笑)。このサモが離脱した直後のジャッキーとユキーデの闘いもすごいね。ジャッキーの奇想天外な動きによる攻撃も好きだけど、それを見事にかわしていくユキーデの床の転がり方とかを見るのも楽しい。カンフーバトルって、主役の動きを追って見た後、同じシーンを敵役の動きに視点をあわせて見直すと、二倍に楽しめるよなぁv
・格闘後半、BGMが流れ出してからの展開で、ジャッキーとユキーデが蹴りの直前に一旦停止する場面もなんだか好き。闘いの中でリズムが変わる一瞬、みたいな演出がエンターテイメントとして最高だね。ジャッキーがユキーデにダメージを与えた攻撃はわずか二度の蹴りだけなんだけど、一発目のトリッキーな背面蹴りはもちろん、二発目のカウンターキックも、段取りの決まっている殺陣とは思えないほどの鮮やかさだ。
・ところで、この当時、本気バトルの際にジャッキーがよくやる構えがある。
「最も効率的に防御と攻撃ができる構え」とジャッキーが結論づいたスタイルらしく(なんかの番組で語ってた)、この構えを取ると「あー、本気だな」と思う。別に何てこともない体勢だが、敵に対して体を横向きにして、左なら左肩を最前面に押し出す。左腕は下方へ下ろし、右手を軽く広げて左肩の脇に添えるといった格好だ。相手が自分に攻撃してくる面積を最小限に狭め、その攻撃を左肩と右の掌で防ぎながら相手に近い左手を攻撃に活用するといった、シンプルだけど確かに効率的な構えだと思う。目立つのは大福星、プロテクターのラストバトル辺りかと思うが、本作終盤でユキーデのパンチを顔の横で受け止める場面とか、肩と反対側の手のひらで完璧に顔面をガードしている体勢に、ジャッキーの格闘経験の豊富さを感じる。多少の変化はあっても、サイクロンやNEWポリでも一瞬、これに近い構えを見せてたかな… 大体、ジャッキーバトルは構えなしで、多人数相手に一気に始まることの方が多いので、サモ監督のようなガチンコの時に見ることが多いような気がする。

・サモハンのフェンシングバトルもなかなかの見もの。ホント、元祖「動けるデブ」の剣のかわし方とか、両手に剣を手にしての闘いとか、柔らかい身体がゴムマリのように弾んでいる印象がある(笑)。ユンピョウもキース・ヴィタリを相手にして凄いには凄いんだけど…サモが絡んでいる時のハイキックバトルの方が見ごたえがあったなぁ。
・ユキーデを倒したジャッキーがサモの加勢に駆けつけた際、背後からの気配にとっさに身構えて、ユンピョウだと気づいて構えを解くわずかなシーンが、細かい演出で好きだなーと思う。

■日本語吹替えについて
・2011年末、念願の日本語吹替え版も新録したBD(ブルーレイ)が発売され、ジャッキー
(石丸氏)&サモハン(水島氏)の掛け合い漫才のような会話のやり取りが聞けるようになった。お二方とも絶妙な間を取る台詞回しで、口論していても本当に仲がよさそうに聞こえる。
・ちなみにユンピョウは、吹き替える声優さんが作品ごとに多少異なっていたため、石丸さんや水島さんほど固定した印象が少ない。今回はファン間で比較的人気が高い
古谷徹さんで、ここ数年の新録では固定されてきた感があるようだ。この方もベテランなので、代表作 『ガンダム』 のアムロ・レイをセルフパロディにしたアドリブを混ぜてきたりして、なかなか面白い♪
・2014年発売のエクストリーム版では、1987年のテレビ放映版の吹替えが収録されている。一部だけ聞いたことがあるが、やっぱ声優さんも声が若くてBGMも新録と違う箇所が多いので、一聴の価値はある…と思います( ^ ^ )


UP:2014年12月31日□□□