脳 内 劇 場

今宵は当劇場へわざわざのご足労、ありがとうございます。
こちらは『Lupin The Third』の各TVシリーズを見た管理人の、とりとめのない感想やら、ふと思い浮かんだ小ネタを吟味することもなく並べ立てた、脳内妄想シアターです。
要するに、「レビュー」ほど順序だてて語るでもなく、
Novelsの「After series」ほど独立した短編にするまでもない、
実に適当でファジィなコネタの語り場というわけです。
どんどんいい加減になっていますね(笑)。

さて、本日の演目は、

「ルパン三世 Part319話「裏切りの荒野を走れ」

でございます。お暇な方はお立ち寄りくださいませ。

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このストーリーは大変面白かったですv
裏切りに裏切りを重ね、誰が最後に勝利するかという、ゲームのようなノリがなかなかGood。もともと「ルパン三世」自体がこういう奇抜なアイディアを駆使して視聴者(読者)を騙し、最後にあっと言わせる…というタイプの作品なのだが、そこにポイントを絞って、三十分の間でこれだけ二転三転する物語も珍しいだろう。
騙し騙され…の駆け引き相手は、いつもは知的を装った悪役なのだが、今回のパーカーは一見あまり頭が良くなさそう。それなのになかなかしぶとくて、不二子やルパンも手を焼くほどだった。
でも、もちろん我らがルパンはパーカーを出し抜いて、一億ドルもの価値のあるお宝を手に入れる。勝利の余韻に浸ろうとする時、またまた不二子が裏切った。しかしそれすらも予測していたルパン、不二子には中に入っていた石ころを今回のお宝だと思い込ませておいたのだ。本当のお宝は、宝箱そのもの。
ちなみに、それを知っていた次元が、しびれ薬を飲まされた(フリをした)時、さりげなくその「宝箱」の上にかぶさるように倒れ込み、不二子に持って行かれないように抱え込んでいる様子がちょっと笑えましたよ。

そんなわけで、今回は不二子の裏切りは失敗。最後の勝者はやっぱりルパンだったわけでv

でも、待て待て。最終的な勝者をルパンにするのは早いぞ。
だってまだ次元が残ってるじゃないか。ここまで『裏切り』をメインに据えたなら、最後に次元も裏切って、それでも勝ったのはルパン、てな方が面白いかもしれない…

と・いうわけで、実験的思考。

そうは言っても、次元にルパンを裏切らせるのは至難のワザだ。ていうか、実質的に無理。ルパンを裏切らないのが次元だし、そゆトコがいいんだしな。
でも何か、ワケありならいいかもしんない。こんなのはどうだろう。

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「ざまぁみろ、不二子め」
「かぁわいいじゃないの。漬物石持って逃げてくなんてぇ」
意地悪そうに笑う次元と、愛しい者を許しちゃう、優しい笑顔のルパン。
ひとしきり笑った後、次元が立ち上がった。
「飲み直そうぜ」
そう言って、彼は棚からウィスキーの瓶を取り出し、新しい二つのグラスに注いだ。
ルパンに背中を向けている次元は、自分の手元にあるグラスがルパンからは見えないことを知っている。スーツの袖口から小さな紙包みを滑り出して、中に入っていた粒状の薬のようなものをグラスのひとつにそっと注ぎ入れた。粉末は瞬く間に琥珀色の液体の中に溶けていく。
両手にグラスを持ってきびすを返し、次元はテーブルの所へ戻ってきた。ルパンに差し出したグラスは、先ほど何かを淹れた方のものだ。ルパンは片腕をソファの背もたれに掛けたまま、それを受け取った。
「それじゃ、今回の成功に、改めて乾杯だ」
二人は軽くグラスを掲げ、次元はそっと帽子の陰からルパンの様子を窺う。何の頓着もなく、酒の入ったグラスを口に運ぶルパン。
彼がグラスの縁に唇をあて、次元の身体がわずかに強張った瞬間。
「次元」
不意に、ルパンが低く名を呼んだ。
「……なんだ?」
ルパンの黒い瞳が、ゆっくりと次元を見た。
「一億ドルのお宝に、興味があるか?」
冷え冷えとした、硬質な瞳が値踏みするように相手を眺める。
問われた男は、黒いソフト帽の奥に感情を押し殺し、同様に低い温度で声を発した。
「その程度の額で、俺が買えると思われたくはねぇな」

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……おお、なんだか面白そうだ(笑)。
ルパンは不二子が騙すのはオッケーだけど、次元に対してはちょっとシビアそうだもんな。
絶対裏切らない人間がいるから、裏切っていい相手というのがあると思う。きっと、裏切らない連中ばかりだと、ルパンは面白くないに違いない。まぁ周囲にいる人間がすべて信用のおけない不二子みたいなキャラばかりでも、ルパンはわりと生きていけそうだけど。
だってルパンは他人を信用なんかしないから。
たとえ次元相手でもね。こういう時、ルパンはちゃんと不審な態度を読みとってくると思う。ましてやそれが次元だと、すごーく不信感丸出しで追いつめてくるんじゃないかと思いますがな。

で、その後の展開としては、どんなもんだろう…

 

ルパンは手にしたグラスに目を落とし、掌の中で褐色の液体を軽く回した。
「次元」
生まれついて備わった気質、才能、他者を圧倒し、従わせる気概に満ちた男が、もう一度相手の名を口にする。
「お前はそういうのに向いてねぇよ。どんなにさりげない振りをしたってな、俺がこいつを飲もうとすると、お前の態度ですぐ分かっちまうよ」
衣服の上からでは決して分からないほど微かな筋肉の収縮さえ、ルパンにとっては容易に読み取れる。例えばこれが不二子だったら、無意識にすら罪悪感がないから、かけらほどの緊張もその全身からは感じられないだろう。(これは実にひとつの才能である!)
次元は自分の手の中にあるグラスを握りしめ、無駄と知りつつ言葉を紡ぐ。
「俺が何をしたってんだ」
「とぼけるなよ。なんなら、お前がこいつを飲んでみるかい?」
ずいと目の前に差し出されたグラスを、次元は顔を上げて見ようともしなかった。


うんうん、悪くないぞ! ルパンv.s.次元、めったに見られない二人の緊張感溢れる場面だ!
ルジッコとしてはこういう対決は期待度高いですよ。妄想は留まるところを知りません。楽しい〜♪


突きつけられた薬入りのグラスから顔を背けていた次元が、やがて開き直ったようにルパンの方へ顔を向けた。帽子の鍔の陰からじろりとルパンを睨みつけた。
「……そんなもの、俺が飲んでも意味がねぇンだよ」
ルパンはくっと唇の端を持ち上げた。その頬に浮かんでいた、酷薄なまでの笑みが深くなる。
次元は手にしていたグラスを、テーブルに叩きつけるように置いた。突然ルパンの腕を掴み、その手にあったグラスを相手の口に押し当てようとした。強い抵抗にあったが、思いきり力を込めて相手の腕を曲げようと躍起になる。
「いいから飲めって言ってんだろ!」
「あっ、こら次元、やっぱりお前、酒に風邪薬淹れやがったな!」
「当たり前だ! 微熱があるから寝とけっつってもきかねぇんだろがお前は!!」
羽交い締めにしてでも口の中に液体を注ぎ込もうとする次元に、ルパンが必死で抵抗する。
「やだっつってんだろ! お前の持ってくる薬、苦いんだもんよ!」
「薬は苦いもんだろうが! 酒と一緒に飲みゃわかんねぇよ!」
グラスは二人の手の中で左右に揺れ動き、今にもひっくり返りそうになりながら水面を激しく波打たせている。
「じ、次元、せっかくお宝が手に入った乾杯くらい普通に飲ませろってぇ」
「毒じゃねぇんだからこれを飲めばいいだろーが!」


……しばらく二人の格闘は続くんだろうな。どちらが勝ったかは、それは各々の想像に任せるとして(笑)。

結局こんなオチですか…
ルパンは薬が嫌いってことで。世話女房の次元はこれがチャンスとばかり、酒と一緒に薬も飲ませようとした、と言うことにしておいてください。
まぁ、次元がルパンに一服盛るのは難しそうだね。その理由について思いつくのはもっと難しそうだから、このくらいで勘弁してもらいましょう。最後に裏切られたのは読者(視聴者)、なんでしょうねぇ(笑)。
ドキドキしただけ損だったね、と降りた幕の陰から登場人物二人が顔を覗かせて笑う、『トムとジェリー』調のエンディングなんて、いかがですか?

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さてさて、今回の脳内シアターはこれにて閉幕。
次回の上演はいつになりますことやら、よろしければご来場ください。
それでは皆様、ごきげんよう。

 

モドル