Mini Theater 3
〜ミッドナイト・ミニ劇場3〜
『ミュージック・アワー』
Ladies and Gentlemen!
今宵も始まりました、『ギフト・ミュージック 〜 for you 〜 』
ステップ・バイ・ステップダンスでお馴染みの、ムスタング綾小路が、貴方の心に素敵な音楽をお届けいたします。
この番組ではリスナーの方々より寄せられたお便りをご紹介します。大切な人に届けたい珠玉の言葉を、リクエスト曲を添えて送ってください。
好きなあの人につい意地を張っちゃう貴方、お友達と喧嘩して仲直りしたい貴方、遠く離れたあの人に、伝えたい言葉がある貴方。そんなあなたたちの真心こもったメッセージを、ムスタング綾小路が素敵な曲と共にお贈りします。
では、最初のお便りはペンネーム・峰ヶ岳のお富士さん。曲は、『Only You』
(前奏開始)
『愛する貴方へ。
こっそりと、私の本当の心をお話ししたいと思います。
いつもわがままばかり言ってごめんなさい。心から我侭が言えるのは貴方だけだから、つい甘えてしまうのね。
ねぇ、気がついてる? 本当は私、いつもあなたのことを想っているのよ?
そりゃあ、素敵な男性に心惹かれたり、現金や金塊に目がくらんじゃったり、たまにはちょっと浮気もしちゃうけど、でも本当に好きなのはあなただけ。どんなに熱烈な恋をしたって、必ずあなたのところへ戻ってくるでしょう?
だって貴方は優しいから。いつもキラキラ輝いて、私にはまぶしいくらいの存在で、貴方に包まれていると私は自分が素直になれると感じるの。素敵なドレスなんて必要ないわ。あなたがそばにいれば、私を最高に美しくしてくれて、心から幸せだと感じさせてくれる。貴方の価値はいつまでも変わることがないから、決して私を裏切ったりはしないの。
フフフ、だからね。ちょっぴりスリルを求めてしまうのは私のいけない癖ね。あなたが変わらないから、ときどき他の男性たちと駆け引きを楽しんでしまうのよ。ごめんなさいね。
本当はね。どんな希少価値のある真珠やルビーよりも、あなたが好き。
神出鬼没の怪盗だって、凄腕の殺し屋だって、あなたの輝きにはかなわないもの。
これからも永遠の愛を、貴方に――。
愛するダイヤモンド様に捧ぐ言葉です』
…うーん、素敵なラブレターですねぇ。
ダイヤモンドを愛する人に見立てて、貴方と呼びかける言葉の端々に、峰ヶ岳のお富士さんの愛を感じました。たまには浮気をしても、一番好きなところへ戻ってくる女性の繊細な心がよく表れています、まさに『Only You』ですね!
さて、次は遠くフランスのパリから届いたメールです。相手の方は日本にいらっしゃるんでしょうかね。ペンネーム・俺が天下の三代目さん。
ええと、
『緊急連絡! 釜茹で十三代目のGさんへ。俺が悪かった、今度こそつまらなくない物を斬らせてやるから、お願い、戻ってきてちょーだい。仕事近し、連絡請う!』
……あらら、困りましたねぇ、この番組は人探しの番組じゃないんですよぉ。こういう連絡事項は新聞の尋ね人欄にでも出してくださいね。
ま、とりあえず、釜茹で十三代目のGさん、この放送をお聞きでしたら、俺が天下の三代目さんに連絡を取ってあげてください。一生懸命謝っていますし、かなり困っているようですから。
えー、リクエスト曲は『会いに来て!I Need You』でした。今しばらくお聞きください。
……
どんどん行きましょう、次のお便りです。
〜(前奏開始)〜 ああ、素敵な音楽が流れてきましたね。埼玉県のトシコちゃんからのリクエスト、『パパ』です。お父様に宛てた手紙を読ませてもらいます。
『私のパパは、私が生まれてからずっと、海外赴任で日本にいません。数年に一度、日本に帰ってくることがあるようなのだけれど、いつも私が寝ている間にママと会って、私の寝顔だけを見てまた行ってしまうそうなのです。
だから、私はパパと会ったことが数えるほどしかありません。本当はママもパパと一緒に海外で暮らしたいようなのですが、パパのお仕事はあちこちの国を飛び回って、ほとんどホテル暮らしだそうなので、ついていくことができないし、手紙を書いてもなかなか届かないんだと言っていました。
この放送を聞いていてくれることを信じて、パパに手紙を書きます。
パパ、話したいことがあるの。聞いてくれる?
パパに会わせたい人がいるの。パパにちょっと雰囲気が似ているかもしれないわ。
一本気で、正直で、ちょっと不器用だけれどとても温かい人よ。私もママの娘なのね、パパとよく似た人を好きになるなんて。
職業もパパと同じ警察官よ。でも、パパと違って内勤だから、ずっと私のそばにいてくれると約束してくれたわ。一生懸命、三か月分の給料を溜めて買ったって、指輪をくれたけど、まだ返事はできないでいるの。
ねぇ、パパ。私、もう二十歳になるのよ。
たまに帰ってくると、私のこと、子ども扱いするけど、もうパパが出会った頃のママと同じ年頃なのよ、わかってる?
私がどこかに行っちゃう前に、親孝行させて欲しいのよ。パパと腕を組んで、ショッピングするのが夢だったのよ。ハンバーガーショップでポテトをかじったり、映画を見に行って感想を話し合ったり、パパとそんなことをしたいとずっと思っていたのよ。
それにね、今は携帯電話だってメールだってあるんだから、もっとママに連絡してあげて。せっかく携帯電話があっても、ちっとも連絡が取れないんだもの。
今度の休暇は少しでも長く取って、帰ってきてね。
追伸。この間、彼にパパの写真を見せたら、お父さんにそっくりだねって言われて、ちょっと嬉しかったわ』
さて、ペンネームは匿名のCIAエージェントさん、達筆なお便りをいただきました。この番組をお聞きのリスナーには珍しいリクエストですねぇ、『無法松の一生』です。では、どうぞ!(前奏開始)
『……怪盗ルパン三世へ。
予告状は受け取ったぞ。俺もお返しにお前に予告を突きつけるために、公の場を借りることにした。
いいか、今度こそ貴様を逮捕してやる。こんなふうに貴様を追い続けて、いつまでもいたちごっこを続けるつもりはない。血が、宿命が、貴様との戦いに俺を駆り立てるのだ。
来るなら来てみろ。例のものは決して貴様には盗ません! ――CIAエージェント』
……ははぁ、スパイ大作戦ごっこなんですかね。リクエスト曲の雰囲気とはちょっと合わないようですが。
匿名のCIAエージェントさん、がんばって「ルパン三世」さんと宿命の戦いに決着をつけてくださいね。
最後のリクエストは……はい、『泣かない約束』ですね。
伊賀の里よりいただきました。ペンネーム……は、ええと、名前のところに書いていただいているのかな? ペンネーム、石川五右衛門さん。
(ん? これ本名? おーい、ディレクター、この手紙わかりにくいよ)
なんと、この番組のスタッフへのメッセージです。
『拝啓、貴社ますます御隆昌にてお慶び申し上げそうろう。
さて、過日より貴社にて放送していた番組が終了してしまい、新しく始まった音楽番組を拝聴しているものでござりますが、これはいただけぬものと感じ、失礼とは思いつつも筆を取らせていただいた次第でございます。
それがし、かの甘い声で我々に語りかけてくださる女人の番組をつねづね愛聴しておりましたゆえ、現在のような騒々しいにゅーえいじのひっぷほっぷ音楽というのはどうにも肌に合わぬようでござる。音楽は日本の心、ゆったりと心休まるものであるべきかと存ずる。
かの番組は、女人と二人きりで逢瀬を楽しむような、それでいて指一本触れてはならぬ純愛を貫く覚悟を与えてくれた、清々しい番組でござった。清楚で可憐なでぃすくじょっきー殿はどうなされたのであろうか。できれば、あの番組を再放送していただけないかと、……』
ああ、ここから先はちょっと読めないようです。和紙に筆書きされているお便りなのですが、途中より涙で滲んで、判読不可能になってしまっているんです。
申し訳ないです、ペンネーム石川五右衛門さん。前回までこの時間に放送していた番組、『甘いささやき』は、パーソナリティーの二階堂有希子さんの個人的な事情により、足掛け十年にも及ぶ長い歴史にピリオドを打ちました。
いやぁ、私も二階堂さんの結婚式に参列したんですが、素敵でしたよ〜。できちゃった結婚ですから、ちょっとお腹は大きくなった新婦さんでしたけど……
(エ? あ、これはオフレコなの? 一身上の都合ってことになってる? ゴメーン、バラしちゃったよ…)
(エンディング音楽)
さぁ、楽しい時間はあっという間です。今夜の『ギフト・ミュージック』もついにお別れの時間がやってきました。今日もたくさんのリクエスト、メール、ファックス、お便りをありがとう!
貴方の心のメッセージが、大好きなあの人に届きますように。ムスタング綾小路も心から願っています。
それでは来週もまた、この曜日、この時間にお会いしましょう。
See you Next Week!
<完>
…陽気なDJの深夜放送ラジオ番組という設定で。
題名は発想の元ネタとなった、ポルノグラフィティの曲ですが、
気がつくとラジオ番組名も変わっちゃってました…
ま、一応名残を残しときます( ^ ^ )
作者にしては珍しく、旧ル中心(?)なネタですが、いろいろと間違ってます。
銭形はCIAじゃないし、かの番組のDJは二階堂さんでもありません(笑)
故意に間違えていますので、ツッコミは勘弁してください;
あとのコネタは、ツボにはまった方のみ、鼻で笑ってやってください…
あ、約一名、登場していないキャラがいます。
下書きの段階ではいたはずですが、ネタが面白くなかったのと、
全体のバランスの問題でボツになりました(苦笑)
06/03/07 K七雲