香港でまだまだ大暴れ 編 ![]()
ツイン・ドラゴン ゴージャス プロジェクトBB ツインズ・エフェクト 花都大戦 ツインズ・エフェクト2 ―
香港はめまぐるしい変化をしている地である。
街並も言葉も法律も次々に新しくなっていき、ほんの数年前のことがあっという間に過去世話になってしまう。現在の香港事情を知るには、数年前の出版物なんて役に立たないんじゃないかと思うほど、変化に富んでいるのだ。何事にも貪欲でパワフルな香港人のバイタリティというのは、こういう環境から培われてきたものなのだろう。
20年ほど前、香港の市街地を舞台に映画を作ろうとした際、撮影部隊は特に許可を取らず、夜明け前などに出没して速攻で撮影を済ませるといった、ゲリラ的な撮影活動をしていたそうだ。しかし現在、取り締まりも厳しくなり、撮影許可もなかなか降りないため、街中での映画作りはずいぶん困難になったという。香港映画の大作、特に街中のカーアクションなどが必要となる映画が海外ロケに向かう傾向があるのも、こういった時代背景が関係しているのだと思われる。
ジャッキー作品だけを見ても、映画の舞台は香港から世界各国へと、徐々に広がっていく様子が見て取れる。「香港国際警察」シリーズも3以降はスケールが大きくなり、ほとんど国際警察化してしまっている。もちろん、これはジャッキー映画の市場拡大が大きな要因ではあるだろうが、規制の厳しくなった香港の街だけでは、ジャッキーアクションは収まりきらなくなってしまったのかもしれない。
それでも、ジャッキーのホームグラウンドが香港であることに変わりはないし、この街の風景に多少なりとも思い入れを感じているファンは多いはずだ。ここでは90年代以降、特に他のカテゴリに分類されなかった、香港らしさが出ている作品を中心にまとめてみた。(一部、現代香港が舞台ではないですが…;)
『ツイン・ドラゴン』 (1992)
さてさて、ツイン・ドラゴン。これは題名どおり、ジャッキーが双子な設定。一人二役に挑戦した 全編ジャッキー大活躍!という、ファンにはなんとも美味しすぎる?物語である。
一応説明しておくと、香港映画界の重鎮たちがスタントマンたちの保険協会を設立しようと計画し、資金捻出のために作った映画らしい。というわけで、徐克(ツイ・ハーク)監督とジャッキーという珍しいタッグが組まれているが、功夫迷の方々には徐克はあまり人気がないのか、それほど夢のコラボでもないらしい。かの有名なワンチャイ・シリーズの監督さんなのだけど…やはり武術指導は本職に任せた方が成功しているからかな。
物語。香港で出産したマー夫妻の双子の一人が、病院で強盗に襲われてさらわれてしまう。強盗はすぐに捕まったが、赤ん坊は行方不明に。どうしても見つからなかったので、夫婦は泣く泣く残った赤ん坊を抱えて帰国してしまった。…どうやらアメリカ在住の様子。
行方不明になった赤ん坊は酔いどれ娼婦に拾われて育てられ、とってもたくましく育った。これがボミー(ジャッキー)だ。腕っ節が強く、下町育ちでちょっと柄が悪い。そしてもう一人のアメリカで育ったジャッキーはマー・ユーと名付けられ、音楽の才能を開花させる。金持ちで物腰穏やかな育ちのよい青年、こちらはカンフーはできないけどピアノの名手で、なかなか魅力的である。
この二人の兄弟が香港で出会い、それぞれのトラブルに右往左往しつつ、協力して事件を解決していく、というのが簡単なあらすじである。
ある夜、ボミーは相棒(なのか?)のターザンに協力を頼まれ、悪党がたむろするバーに乗り込んで大立ち回りをすることになる。ターザンの恋人だというバーバラ(マギー・チャン)が悪党に絡まれていると言われ、彼女を助けるために頑張ったのだが、実はターザンの勝手な片想いだったとわかる。バーバラはターザンのことなんて知らなかったのだ。
ボミーというキャラ、ジャッキーには珍しくタバコを咥え、チンピラっぽい雰囲気がある。(他に煙草を吸うキャラなんてあったっけ?) ターザンを時々「俺のボス」と呼び、子分を装ってやっている感じだが、基本的には対等の友人関係らしい。「俺はお前の恋人のためならなんだってやってやるけど、彼女(バーバラ)はお前のことなんて知らないじゃないか!」と怒っている。そしてバーバラに対しては、つっけんどんにしながらも扱い方が丁寧だ。ターザンをどう思うかと聞かれ、戸惑うバーバラをじっと見る表情がなんともいえず、男っぽくてカッコイイ〜口は悪いけど情の深い人だな、と一気に好感を持ってしまう。
一方、コンサートの指揮者として香港にやってきたマーユーは、世話になる人物に「ぜひ嫁に」と言わんばかりに娘(利智/ニナ・リー)を押し付けられ、紳士的に扱いつつもちょっと困っている。こちらのジャッキー、どうも実際にピアノを弾いているように見えるんだけど…ホントに?編集してるんじゃなくて? ……いろいろ調べても真偽のほどが不明なのだが、少なくともある程度は本人が鍵盤を叩いているように見受けられる。本当なら意外な才能だろ、ビックリしたけど;
この二人のジャッキーが、それぞれ行動を共にしていた女性が入れ替わり、お互い勘違いされたまま話が展開していく。そのうち互いの立場も入れ替わってしまい、彼ら自身は途中で出会ってそっくりさんだと気付いて事態を収拾しようとするのだが、ますます混乱していくのだった。この辺のベタな展開はいかにも香港映画という感じで、まぁ〜面白いんだけどとにかく長い! ノリツッコミのノリが長すぎるんじゃないかっていうくらい、ありとあらゆる行き違いとドタバタを繰り返していくんだよな。最初に見た時は中盤がとても冗長だと思った。
「だからお前ら、なんで一緒に風呂に入ってんだよ…( ^ ^;)」
ボミーとマーユーを取り違えて引っぱっていくヒロインたち。
バーバラ役のマギー・チャンは「ポリスト」シリーズでジャッキーと名コンビとも言えるが、本作では全然違う顔を見せている。今までは、表情が豊かで子供っぽくて可愛い女の子だと思っていたのが、一気に大人びて、「この人、こんなに綺麗だったかな」と思うほどだ。ハスっぱな感じもいいし、髪をすらっと落とした時なんかはいかにも中国美女。堂々と歌まで歌って、貫禄すら感じさせる。この作品のマギーはとっても綺麗で好きだなぁv
彼女は最初、ボミーに少なからず好意を抱いたと思うのだが、ボミーが友情に厚いタイプで、ターザンがいる以上、絶対自分に振り向かないだろうと聡明にも理解したと考えられる。その後はボミーに対して敢えて欠点を探して指摘するような、クールな態度を取っていた。ところが、ガサツで粗野だと見切りをつけていたボミーが一転、音楽に造詣が深い教養豊かな一面を見せたりした(実はマーユー)ものだから、グググイと惹かれてしまったんだね。
マーユーとバーバラが誰もいない劇場でピアノを弾きながら歌うシーンはすごく好き。ジャッキーの表情がとっても穏やかで優しげで、バーバラを見守っている。そっとキスを交わすシーンも印象的で、ホントに王子様みたいだよー! こんな優しそうなジャッキー、ファンとしてはたまらない。ああ〜ボミーとマーユーのどっちが好きかといわれたら、どっちも選べないなぁ…と、本気で悩むほど、両極端な二人が魅力的だ。
もう一人のヒロインはニナ・リー。役名はスン(またはサリー)。言わずと知れたリー・リンチェイのご夫人で、出演作はそれほど知らないが、グラマラスなボディを生かして、けっこう色気バッチリのアクションなんてやってましたな。本作では最初は恋人がいるのだが、バーバラ同様、マーに出会って香港人らしからぬ優しい気質に惹かれ始めていた。しかし、元々たくましい筋肉質な男性が好みだったらしく、ボミーと一気に関係を深めてしまい、すっかり婚約者気取りになってしまった。そんなつもりのないマーは彼女にベタベタされてとっても迷惑顔。でも、「キスして」とねだられると頬に優しくキスしてあげるジェントルマンなところがまた素敵だ(笑)。
さて、そんなジャッキー二人分+女性二人の織り成す物語、実は本筋が何なのかよくわからない。ボミーが最初に絡んだ悪党どもと、車のレースをすることになっていたのが、ボートの大事故でターザンも相手も大怪我をしてしまう。ボミーはターザンを人質に取られて、服役中の大ボスの脱走を手伝わされることになってしまった。このボスは、最初にレースの相手をすると言っていた親分のそのまた親分なんだろうか…。有能な車の運転手として当てにしていた子分が怪我をしたので、ボミーにお鉢が回ってきたということなんだと思うのだが。(そして実際に手伝わされたのはマーユー/笑)
脱走自体は中途半端に成功して、命からがら逃げ帰ったマーの手元に、車の中に置きっぱなしだったスーツケースがある。中身は大金か何かのようだが、どういう理由で車内にあったのかはよくわからない。それを返せばターザンを返してやると、人質になっていたバーバラが何故か釈放されて伝言にやってくるのだ。
それでボミーとマーは、スーツケースを持って敵組織の指定した港へ向かい、マーが囮になってボミーがターザンを救出しようとする。マーはスーツケースの中に爆弾があるというのだが、実際は白紙の束だった。スーツケースの中に元々入っていたモノ(お金?)はどうしたんだろうな…
そんなよくわからない展開ではあるのだが、まーまーまーそれはともかく。最後は自動車性能テスト工場へ全員がなだれ込んで、大乱闘となる。これは大昔に見た記憶にもよく残っていて、非常に面白いアクションシーンだ。
ボミーとマーは同じ服を着て同じ髪形になっているので、彼らが二人いるのだと誰も気付かない。水浸しの部屋とヒーターがガンガン利いている暑い部屋とを敵味方がぐるぐるぐるぐる回りながら、これでもかというくらいお笑い大混乱をしている。マーがこてんぱんにされて、強気になった敵を入れ替わったボミーが一撃で倒しちゃったり。このコメディ部の展開はくどくなる一歩手前くらいでうまくまとめていて、面白い。そしてその次はもうボミーの独り舞台、自動車テスト工場のあらゆる機能を駆使してジャッキーアクション全開である。車の窓から車内へすぽんと飛び込むシーンとか、車の下を転がるジャッキーの上に、その車の支えが切られて落ちてくる場面とか、ギリギリのタイミングに思わず「ひゃっ!」と思わず身を固くしてしまう。ジャッキー凄い! まだまだ衰えを知らないパワーに満ちたアクションですね!
最後はボミーがフェンスの中に閉じ込められ、マーが敵に追い詰められる。マーが危ない! とボミーは必死になってフェンスにしがみつき、「俺と闘え!」と敵に向かって怒鳴る。いつの間にかボミーとマーユーの間にも深い友情(兄弟愛?)が芽生えていたんだね。この時、自分の動きにマーがシンクロすることに気づき、ボミーはフェンスのこっち側で何もない空間に向かって腕を振り回したり蹴っ飛ばしたりしてみる。それがマーに伝わって同じ攻撃をしたため、なんとかマー自身で敵をやっつけることができた。…いやぁ、いい回し蹴りでしたよ!(笑)
そんな感じで、双子という設定が最後までうまく生かされていた 『ツイン・ドラゴン』 。所々で編集がおかしかったり、特殊加工技術が荒い部分はあるものの、香港映画なので深くは追求しないでおこう。洗練とは程遠いものではあると思うが、ラストアクションの素晴らしさとか、ジャッキーのいろんな魅力がぎゅうぎゅうに詰まっていて、語るに価値ある一作なのでしたvv
『ゴージャス』 (1999)
【あらすじ】 台湾の港町で育ったプウ(スー・チー)は恋に恋する天真爛漫な女の子。ある日海で拾った瓶の中に「君を待っている」という手紙を見つけ、素敵な出会いを夢見て香港へと旅立つ。手紙にあった住所を訪ねてアルバート(トニー・レオン)と出会うが、アルバートは男性にしか興味のない同性愛者だった。ロマンチックな恋に発展することもなく、プウはがっかりする。
アルバートの仕事についてクルージングをしていたプウは、あるクルーザーの上で暴漢たちと闘っている男を見つけた。この男が香港で会社を経営している若手社長・チェン(ジャッキー)だ。彼に恋をしたプウはあの手この手でチェンの気を引こうと一生懸命。しかし年上でガールフレンドの多いチェンにとって、一緒にいて楽しい女友達の一人としか思われていなかったことを知り、失望して香港を去る。
一方、会社売買の激しい経済戦争の中で会社の舵取りをするチェンは、自分を負かそうと差し向けられたキックボクシングの名手と戦い、敗北しながらも再戦を果たし、自分の本来の姿を取り戻していく。そばにいて自分を励ましてくれたプウが特別な存在だとやっと気付いたチェン。彼女にもう一度会うため、台湾へと向かうが……
本当の物語はこんな感じ。この映画の紹介で、命を狙われたジャッキー扮する主人公が運命的な出会いをする、といった説明が多いが、主役というか視点はあきらかにプウの方だ。カッコよくてお金持ちで大人な男性に恋をして、懸命に背伸びをしている女の子の姿を描いた、典型的なシンデレラストーリーといえるだろう。この手の話は通常、女の子が去ってから男性側の視点に移り、彼が自分の気持ちに気付いて彼女を迎えに行くまでがもう少し手早く終わるものだが、そこはジャッキー映画。プウがいなくなり、チェン視点になってからのリベンジマッチをしている時間が長い。闘いのシーンにすっかり盛り上がってしまい、彼がプウを追って台湾へ行くというラストが蛇足のようにすら思えてしまう。恋愛映画なら普通、そこが一番クライマックスになるべきところなんだけどね!(爆) ボクシングの試合の方が(個人的に)一番の山場に感じたというのはいかがなものか…(苦笑)
すごく個人的好みの話だが、恋愛映画はそれほど好きな方ではない。他人の色恋ごとに興味はないから、恋愛を主体とした映画やドラマを好んで見ることはあまりない。もちろん、 『ローマの休日』 とか 『ノッティング・ヒルの恋人』 とか、見ればとても面白いと思っているけど。ジャッキーが出ていなければ、上の粗筋を読んでもまず見ようと思わないくらいだろう。ジャッキーだから見るけど。
アクション映画は好きだけど、本当は格闘技は苦手。プロレスとかボクシングとかK-1とか、全然好きじゃない。痛そうで見てらんない。 『ランボー』 は好きだけど 『ロッキー』 はダメなのだ。その他、チャック・ノリスとかスチーブン・セガールとか、ヴァン・クロード・ヴァンダムなんて肉体派俳優が出ている格闘技系アクション映画も、それほど興味があるわけではない。
功夫映画は全体的に好きだけどね。格闘技という視点はなく、京劇的な殺陣のリズムを楽しんでいる。殴られてもあんまり痛そうじゃないし、アクロバティックで軽快な動きがショーを見ているようで、苦手意識はあまりない。(血がいっぱい出るリアルなのはダメだけど;) ジャッキーのカンフーも、正統派な闘いをしている時より、途中で椅子とか壷なんて小道具が出てくると、単純にワクワクしてしまう。
だからさぁ…ボクシングって痛そう〜。今回はキックボクシングが主体の試合形式で、小道具を使った反則技はほとんどない。正々堂々と殴りあうボクシングなんて最も苦手分野だから、普通ならノーサンキューで見ないトコロだ。ジャッキーだから見るけど。
そういうわけで基本的には苦手な要素の多いこの映画なのだが、にも関わらず率直に「面白かった」と感じたし、相当気に入っている。全体が女性向けのロマンチックな恋愛モードで、細やかな脚本はやはり女流作家ですね。台詞回しのうまさ、スマートで洗練された演出、色調や選曲のセンスのよさなど、映画としてかなり完成度が高いと思う。 …監督のヴィンセント・コクって、俳優としてはいかにも香港的な感性の演技をする印象で、本作でもちょろっと登場する場面(ロンギーがプウを探して香港をうろつくシーン)ではそこだけベタベタ香港ギャグになっているのだが、監督をするとどうしてこんなお洒落なものに仕上がるのかね? まぁ、脚本がかなりいいのは確かだろう。
登場人物について。スー・チーを美人だという説には納得できないKだが、この映画では疑いようもなく「美人ではないが魅力的」な女性だと思う。おきゃんで元気いっぱいで甘えん坊で、天真爛漫なプウがこの映画の最大の魅力だ。髪の毛がくしゃくしゃになってても、ニコッと笑うと問答無用でカワイイ。こういう映画って、ヒロインの無邪気さが鼻につくと見ちゃおれんのだけど、そういうところに気難しいKでも好感を持って見ることができた。(ただ、他のスー・チーの出演作も何本か見たが、きれいと思えたのは 『クローサー』 ぐらいか…)
プウの母親が、恋愛について彼女に語ってくれる言葉はとても素朴で真実味があり、心に残る名言だ。父親の方も、ラストシーンでチェンと対立した時に見せた無骨でまっすぐな娘への愛情なんか、とても温かくてイイなぁ。
脇役に話が逸れたついでに語っておくと、トニー・レオン演じるアルバート! 何だコレ、いい味だしまくってる〜(爆笑)
色男なのにオカマさん、突然訪ねてきたプウを最初は冷たくあしらうんだけど、結局アパートに泊めてやり、危なっかしいプウを温かく見守り、励ましてくれるいい兄貴(姉か?)のような存在だ。トニー・レオンはシリアス俳優のイメージがあるけど、こういう役もなかなかいいね。最近は結構好きな俳優さんだ♪ 欲を言えば、チェンとの絡みがもっと欲しかった。チェンとも仲良くなって、プウとの橋渡しをするくらいのエピソードがあるとよかったな。何しろエレベーターでのチェンとの遣り取りは非常に面白かったので(笑)。
それから、チェンのライバル会社の御曹司であるロウ(エミール・チョウ)。この人、すごく好きだ! 出演映画はあまり知らないけど、ミシェル・ヨーの 『プロジェクトS』 でも好印象だった。ミシェルとの仲を応援していたのに、後半完全にスルーされててガッカリした…。ジャッキー映画では 『Rブロンクス』 と 『ナイスガイ』 でアイスクリーム屋さん役でちょろっと登場したくらいかな?
今回はチェンの幼馴染み役で、小学生時代から何かとチェンと対立していて、勝負を挑んでは負けていたらしい(笑)。一応悪役なんだけど、本心からチェンを憎んではおらず、闇討ちは後味が悪いからやっちゃいけないとか、わざわざボクシングの達人を呼んでチェンと対決させておきながら、チェンが負けるとすごく複雑な顔をしてしょぼんとしてしまうのだ。そして「チェン、電話しろよ」と言って去っていく……お前がやったんだろ!(爆)
実に愛すべき悪役で、こういうキャラクター、大好き( ^ ^ )。こいつの手下たち(成家班)がまたトボけてて味があり、さらにいえばチェンの相手役のアラン(同じく、成家班メンバー)もフェアなスポーツ精神の持ち主で、とにかく登場人物のすべてが魅力的に描かれている。
こういう、登場人物みんながほのぼのしていて好感を持てて、根っからの悪人がいない物語って御伽噺みたいなんだけど、見終わってとても爽やかな気分になれる。物語のテンポもよく、随所にある香港チックなコメディも香港映画にありがちなクドさを感じさせない。役者にせよスタッフにせよ、いいものを揃えてきたな、という感じで、個人的にはすごく好きだし評価に値すると思う。
で、その中でジャッキーがどうかというと、いつもと違う役柄ながら十分合格点に達しているだろう。やり手の社長という設定だが、ノーネクタイ、ノースーツ。衣装はすべて白で統一しているのが清廉なイメージだ。プウの仕草を楽しそうに見る笑顔は、むしろ娘を見守るお父さんといった風情だが(笑)、珍しくジャッキーの優しい笑顔や男性としての魅力なんかがじっくりと演出されていて、女性ファンには美味しい映画といえるだろう。 『ツイン・ドラゴン』 以来かもね。
「う〜ん、やっぱりジャッキーってかっこいいよなvv」
最後には父親に何度も殴られながら、怯むことなくプウを取り戻したいという熱意を見せてくれます。 『プリティ・ウーマン』 のリチャード・ギアよろしく、こういう映画ではいつだって相手役の男性は、女性の理想の王子様となりうるのであります(爆)。
アクションも思ったよりは全然多い。クルーザーから海へ飛び込むシーンとか、かっこよすぎる; 大型バイクや金属バットを使ったアクションは見事の一言!♪ そしてアランとの闘いは今までにない一対一の試合形式で、かなり緊迫感のある本格的な格闘シーンだ。そーだよね、普通パンチ一発食らったらこれくらいのダメージあるよね; いつものジャッキー映画なら殴られても蹴られても平気な顔してるけどさ(笑)。
他のジャッキー映画に比べるとアクションは控えめだが、その分新鮮で濃厚にしているし、試合という形で物語にうまく組み込んでいる。最初に述べた通り、最後のファイトがちょっと長めになっていて、主軸からズレてはいるのだが、映画全体のバランスを崩すほどではないだろう。ジャッキーアクション目当ての男性ファンにも、かなり満足できるように作られていると思う。
でも恋愛映画の体を最後まで崩さず、試合の最中にもちゃんとプウの存在感がある。顔を殴られても腫れたり血が出たりしないところがやっぱりジャッキー映画だと思うし、決着をちょっとコミカルにさらりと流してしまったのも悪くない。だってココ、クライマックスじゃないもんね(笑)。
本当のラストは、プウのもとを訪ねて行ったチェンが、彼女に謝って好きだと告げるところだ。ロマンチックにハッピーエンド、爽やかでいいんだけど、最後までキスするシーンがなかったので、「そこはキスして締めくくる場面だろう!」とプウの父親よろしく、突っ込みたくなった(笑)。……しかし、エンディングが流れた最後の最後で、水中で交わすキスシーン。小憎らしいほどお洒落なラストに「うまいっ!」と太鼓判を押したくなりましたよ。
というわけで、ジャッキー映画ゆえに横道に逸れすぎたため、上映時間が20分ほど長くなりましたが、お洒落でセンスのいい、王道の恋愛映画としてオススメできる作品だと思います( ^ ^ )v
『ツインズ・エフェクト』 (2003)
えーと、これはジャッキー主演ではなく、ゲスト出演ですね。一応、日本で劇場公開されているので、ここに登場してます(笑)。出番は少ないので、ジャッキー目当てのこちらもかるーい気持ちで見て問題はないんじゃないかと思います。
主演はツインズという香港のアイドル少女ユニット。物語は吸血鬼一族とバンパイヤ・ハンターとの戦いを軸にした、涙アリ、笑いアリの現代ファンタジーアクションてところか。洋画 『ブレイド』 の香港バージョンという位置づけらしい。
ツインズを初めて見たのはこの映画で、この時は片方が美少女風、もう片方はあまり可愛いとはいえないが、ちょっと生意気でわがままな妹キャラが男性にはウケそうかなぁという印象だった。当時のあちこちの感想を覗くと、彼女たちの体当たりアクションの凄さには多くの人が驚き、賞賛していた。長い棒を振り回して対決するシーンや、素手でのカンフー、ソードバトルなど、ワイヤーもCGもあるのは充分わかっているが、それでも素人の女の子が本気で挑んでいる姿はすごい。さすが香港、アイドル美少女もこんなことをしなきゃならないんだねぇ(苦笑)。
しかし、本作で才能が評価されたのか、その後のツインズのアクション映画での活躍ぶりは、意外と日本でも紹介されている。特にジリアン・チョンは若手の中でもキレのいい動きで、しなやかなアクションをしてると思う。シャーリーン・チョイも数年で女の子から大人の女性に長じてきて、とても綺麗になっている…と、別にファンでもないが、香港映画で見かけるとなにやら微笑ましい気分になってしまう。
主役の女の子たちの頑張りも充分楽しめるが、相手役の男性陣もなかなかよい。バンパイヤ・ハンターを演じていたイーキン・チェンを見たのも本作が初めてで、ソード・アクションが特にカッコよかったね。イーキン君ともその後、Kが次々に見倒す香港映画の中で何度も再会することになる。わりと好きだけど、見るたびに「邪魔そうな前髪だなぁ。切ればいいのに…」と思います(笑)。
で、ジャッキーはツインズの片割れが吸血鬼のエディソン・チャンとデートをしていて、勝手に潜り込んだ結婚式の新郎役で登場。結婚のお相手は酔っ払ったカレン・モクでした。その後はしばらく出てこなくて、ツインズが吸血鬼の彼氏を助けるため、輸血用の血液を探しに行った病院で再会した。職業は救急隊員だったらしい。わけがわからないまま、女の子に言われるままに救急車を走らせていると、いきなり吸血鬼が出現!
…ただのラリってる暴走族にしか見えないんだけど、人間離れした不死身っぷりにジャッキーと助手席の看護士嬢はパニックになる。この看護士のお嬢さんが地味に笑えた(笑)。ジャッキーは車から落ちそうになったり、吸血鬼と取っ組み合いをしたり逃げ回ったりと、ちょっとしたアクションを披露してくれている。基本的にオカルトとかファンタジーといったジャンルの作品でジャッキーを見かけることがないので、ちょっと新鮮な気分で見られるのが嬉しいね。吸血鬼の牙をチョンチョンと触ってみたりとか、ワタワタして逃げてるのを見ていると、キョンシー映画とかに出てても面白く見られそうな気がした。設定をそのままジャッキー映画にして、バンパイヤ・ハンターのジャッキーってどうだろう…と思ったが、うーん、やっぱり合わないか(笑)。
で、物語は後半で崩壊してしまい、急展開で悲劇があったり主要キャラがバタバタ死んだりと、香港映画にありがちな行き当たりバッタリ感が満載になっている。しかし、終盤のバンパイヤとの対決はなかなかよくできている。ツインズ、身体を張って頑張ってますよ。そこはさすがにドニー・イェンの武術指導、と思うほどの格闘シーンの作り込みと、VFXの凝った映像とのコラボで、けっこう面白く見られるんじゃないかな。ちなみにこれ、 『メダリオン』 と同時期に見たのだが、アメリカ資本のあの作品より、こっちの映画のCGの使い方の方がうまかった気がした;
ま、現代香港の映画らしい、スピーディで若々しさにあふれた作品、というところですね。香港映画としては嫌いではありません( ^ ^ )。
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『花都大戦 ツインズ・エフェクト2』 (2004)
香港のアイドルユニット・ツインズの主演映画第二弾。いや…主役はジェイシー・チェンの方なのかな? よくわからないが、ツインズの二人が相変わらず頑張っている映画だ。現代香港が舞台じゃないけど、彼女たちのシリーズとして、まとめてこのジャンルで扱うことにしておきます。
時は古代、徹底した女性優位・男はすべて奴隷という女人国で、いつか前皇帝の子孫が立ち上がり、国(男?)たちを救うという予言が実現するという物語。一種の英雄伝説というか、異世界ファンタジーだね。最初原語で見始めて、「しまった、吹き替えで見るべきだったな」と思った。どうも自分、ファンタジーってあまり得意じゃないらしく、字幕だと設定がうまく理解できなくて、物語に入るのにかなり時間がかかってしまうのだ。 『ロード・オブ・ザ・リング』 とかもすごく面白いけど、日本語版でないと理解できない…
一応広東語版で一通り見た後、日本語吹き替えで見直してみて、細かい部分まで理解ができました(苦笑)。
物語はかなり適当というか、結局、女王が恋人を妹に寝取られたため、怒り狂って国中の男をみんな奴隷にしたという、はた迷惑にもほどがある痴話ゲンカというか姉妹ゲンカというか。女王の若さから言っても、女人国になった歴史は十年にも満たない数年間といったところか。
アイドル映画とは言え、それなりに金のかかっているセットや衣装やCGで、邦画みたいに学芸会の延長のようなものではない。ツインズも頑張りの伝わるアクションや演技で好ましいのだが、残念ながら一人シロウトっぽくて目立ってしまったのがジェイシー・チェンというところだろうか。
ジャッキーJr.がついにスクリーンに登場!? なんて話題になったのかどうかまったく知らないが、まぁジャッキーの若い頃(整形前)によく似ている。あんまりそっくりなのでちょっと笑ってしまった。香港人らしからぬおっとりした雰囲気で、聞き取りにくい声でジャッキーのようなオーバーリアクションもないが、そこはまぁ彼の個性なのだろう。伝説の剣を手にした英雄なのに、最後まで英雄らしくならないというか…皆に助けられっぱなしで、自分は何もしないまま女王も死んでしまい、皇帝の座も放棄してしまうという、キャラクターとしてはかなり微妙な役柄だったね。英雄然とする必要はないと思うが、「強くはないけど人徳のある懐の深そうな人物」くらいの設定は見せて欲しいのが正直なところ。ジェイシーくん、とりあえず発声練習から頑張った方がいいと思います( ^ ^;)。
ま、それはそれとして、ファンタジーの雰囲気自体は好きなのよ。ひらひらした衣装とかマントの翻りとか、伝説の剣を探す旅とか未知の生命体との遭遇とか、何やらわくわくするじゃないですか。ツインズについては、 『ツインズ・エフェクト』 の現代劇の方が可愛かったかなーと思うけど、おまけで登場したジャッキーとドニー・イェンが! めちゃくちゃカッコエエですvvv
ジャッキーは鎧の神、ウェイ・チャン。伝説の剣の守護者なのかな? 埴輪のような像だったのだが、ドニーがやってきて洞窟内が明るくなり、あちこちから水が流れ出した時、像の中から突然出現しました。珍しく前髪をばさっと下ろして、長い間彫像になっていたのでぶるっと頭を振ると白い埃が舞い散る感じがちょっとツボ。そして鎧姿で、剣や槍でドニーと闘うさまは、とにかくすごくカッコイイ! めったに見られない衣装が新鮮でかっこいいし、台詞もほとんどなくて闘うだけなのだけど、それがまた武術の神らしい重厚な存在感を感じさせてくれる。こういう脇役、イイですよジャッキー!(喜)
またドニーとの闘いが、ワイヤーはいっぱい使っているのだけど、ファンタジー的な世界観に合っていてけっこう迫力がある。水を使った演出がきれいで、落ちてくる剣を次々に掴みながら攻撃を仕掛けていく展開とか、水飛沫飛び散る中を潜り抜ける槍同士の闘いとか、ちょっと見入ってしまった。ドニーも黒いマントがかっこよくて、 『シャンハイ・ナイト』 とかその他のいろんな主演作より好きかも。反体制派の革命軍の首領、ジェネラル・ローンという役どころで、いきなりレオン・カーファイと恋に落ちるという、ドニーさんには珍しいコミカルな展開もあったりして、なかなかおいしいぞ(笑)。
ということで、ジャッキーv.s.ドニー・イェンの対決は見どころのひとつだと思う。それ以外は…ええと、特に語るところはないが…;;
…うん、総じて言えることは、とにかくおっさんたちの方が頑張ってるぞ。
若者たちよ、もっと頑張れ!(爆)
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『プロジェクトBB』 (2007)
【あらすじ】 ギャンブル狂のサンダル(ジャッキー)、車と女に目がないフリーパス(ルイス・クー)、元金庫破りの名人・大家(マイケル・ホイ)は泥棒チーム。ある日、彼らが依頼を受けて盗み出したのは、生後半年ほどの赤ん坊だった。成り行きでベビーの世話をすることになったサンダルとフリーパスは悪戦苦闘を重ねるが、やがて子供に愛情を持つようになる。しかし、誘拐の依頼主に赤ん坊を渡す日がやってきて……
『新・香港国際警察』 のベニー・チャンが再び監督を務めた本作、あの 「Mr.Boo!」 のマイケル・ホイやジャッキーの盟友・ユンピョウが久々の共演をしたということで、オールドファンには懐かしさ一杯で目が潤むところだろう。といって、ことさらそれを強調しているわけではなく、あるいは当時の雰囲気を出そうとコテコテに懐古趣味に傾くのでもない、現代風の新しい要素も加えながらさらりと同じ画面に登場させている感じがなかなか悪くない。日本公開時にはそれをメインに宣伝をしたような傾向があるため、期待を寄せたファンも多かったことと思うが、本編が肩の力の抜けた共演風景になっているのは、個人的には逆に心地よい印象を受けた。
もちろん、自分世代は「マイケル・ホイといえば広川太一郎さんの吹替え」が刷り込まれているので、往年の広川節がジャッキー映画で見られるのは実に嬉しい。広川さんと石丸さんジャッキーとのアドリブ台詞の連続応酬という、日本人には二重に楽しめる要素を持った、特別な映画なのだ。製作があと一年遅ければ、故・広川さんの声が聞けなかった可能性もあるのだから、今となってはまさに奇跡の共演が実現した最後の一作ということになるのだろう。
しかし、懐古気分で見ると目が曇ってしまう。この映画、普通に見てなかなかよくできているのだ。無駄に昔を懐かしむこともなく、ちゃんと時代に合わせた前向きな映画作りをしているのが素晴らしい。いわゆるアクション大作とか、スケールの大きい傑作というものではなく、もっと身近な人間同士の触れ合いや愛情を丁寧に描いたハートフルコメディ<ただしジャッキーアクションあり>って感じかな(笑)。DVDだとディレクターズカット版で135分という長編だが、全体が軽いタッチなので、わりと気軽に何度も見られる。K的には 『ゴージャス』 と似た意味で非常に気に入っている。
今回、ジャッキーはギャンブル好きな泥棒である。故郷の父が靴職人なので、通称サンダル。いい歳して定職にもつかず、賭けにかまけて借金をしては泥棒を繰り返し、借金取りが家まで押しかけてくるという、典型的な自分に甘いダメ人間だw 借金取りの人も家族に乱暴したりせず、「ペンキで 『金返せ』 と書いとくので、窓は閉めておいてね」という結構いい人なのに、たまたまやってきたサンダルにこてんぱんにされていて、ちょっと可哀想;
そのサンダルの相棒、フリーパス。サンダルとほとんど同居しているような形だが、実は若くしてうっかり結婚してしまったので、妻(パッイン=シャーリーン・チョイ)がいる。いまだ独身気分でフラフラしているくせに、奥さんとも本気で別れるつもりがない。…ということはサンダルは一人暮らしのつもりであの広いアパートに住んでるんだろうか。
で、そのアパートの大家さんが泥棒チームのリーダーで、昔は金庫破りの名人だったらしい。今はサンダルたちに盗みの実行は任せ、老後の貯金にいそしんでいる。ずっと昔に息子を亡くして以来、赤ちゃんの人形を抱いて時々意味不明なことを口走る奥さんがいる。そんな妻を支えながら、人生の最終段階に入りかけた哀愁を帯びた初老の男を、マイケル・ホイが好演している。
さて、そんな大家さんが赤ちゃん泥棒の依頼を受け、迷いながらサンダルたちに相談を持ちかけるが、二人は700万ドルという報酬だけを聞いて「やろう!」と早速指定された屋敷に忍び込む。しかし赤ん坊を盗むという事実に愕然として、猛反対するジャッキーの表情がなかなかいい。それに対して、「老いること」への強烈な恐怖を吐露するマイケル・ホイの演技もいいなぁ、と思う。
結局、サンダルが折れて赤ちゃんを連れ出したが、途中で検問に捕まり、強行突破しようとしたために大家さんが逮捕されてしまった。釈放されるまでの10日間ばかり、依頼主とも連絡が取れず、赤ん坊の世話をしなければならなくなったのだ。
そこから始まるのは予想通りの、無骨な男どもの子育て奮闘記。サンダルとフリーパスは必死に子守唄を歌い、あたふたと出産・子育て教室に通い、右往左往しながらも赤ちゃんの面倒を見る。その一方で、サンダルの借金取りが追いかけてきたり、依頼主の手下が赤ん坊を奪い返しに来たり、警察官のスティーブ・モク(ユン・ピョウ)が様子を見に来たりと、様々なエピソードが入り乱れている。
今回、ユンピョウはジャッキーの幼馴染みで、コソ泥のサンダルを更生に導きたい警部さんの役だ。赤ちゃん誘拐捜査も担当しているようだが、サンダルたちのところで赤ちゃんを見つけた時も誘拐事件と関連付けたのかどうか、明確に本筋には絡んでこない。もう少しキャラクター設定が明確で、出番が多かったらよかったなぁ…とちょっと残念に思う。しかし、サンダルのアパートで借金取りやら誘拐団の手下やらがやってきて大騒ぎになった時、久々の華麗なアクションを見せてくれたのは嬉しかったね!
このシーンは 『プロジェクトA2』 のマギー・チャン邸での入り組んだ隠れんぼ合戦を思い出させるコミカルな遣り取りで、窓の外で赤ちゃんの入ったバスケット籠が揺れるたびにサンダルが引きつった痙攣をしているのに笑っちゃった(笑)。カンフーバトルになった時も、借金取りの二人組のトボけた動きとか、ジャッキーとユンピョウの手錠をかけようとする掛け合いなんかも、ルパン三世と銭形警部みたいだと思ったり。そういえば、映画の最初でサンダルとフリーバスが泥棒してる場面も 『ルパン三世』 のようにアニメチックで面白かった。
ついでに、赤ちゃんの乳母車を引っ掛けて走る車(現金輸送車?)の運転手として、ニコラス・ツェーとダニエル・ウーがゲスト登場。車を停めろと叫ぶサンダルに「ご、ご、強盗だ!」とドモる男ニコラスと、出身が自称 『ブロークバック・マウンテン』 なダニエル(爆)。ダニエルのゲイキャラはジャッキー製作の 『エンター・ザ・フェニックス』 に引っ掛けてるんだろうなぁ(笑)。
まぁそんなドタバタがあって、ようやく大家さんが釈放され、早速依頼主に呼び出されて赤ちゃんを引き渡すことで話がまとまる。どうやら依頼主は暗黒街のボスのようで、死んだ息子が以前に付き合っていた女性が産んだ子供が、息子の子供だった可能性があるため、奪って自分の孫として育てようということだったらしい。20分ほどの血液検査で自分の血縁かどうかわかるということだが、DNA検査とは違うんだろうか? DNA検査なら何日もかかると思うけど…
話は逸れるが、本作の影の主人公ともいえる赤ちゃん、実に可愛い。東洋人の赤ちゃんぽくないなと思っていたら、ハーフなのかな? マシュー君というらしい。笑顔がほんとにかわいくて、この子が映画成功のカギとも言えるだろう。赤ちゃんと動物の撮影は大変だというが、例に漏れず撮影現場は大変だったとジャッキーや監督が語っていた。赤ちゃんは演技しないから、「ちょうどいい表情」をしている時に共演の大人側がその演技をするテンションに合わせなければならないってのは、難しいんだろうなぁ。ジャッキーはきっと、実の息子のジェイシー君より長い時間、マシューを抱っこしてあげて、タイミングを待っていたのではないだろうか。
で、一度は引き渡した赤ちゃんを取り戻そうと、サンダルたちは依頼主の屋敷に突進していき、敷地内にある遊園地で逃げ回ったり、プレイルームのようなところで格闘したりする。観覧車の場面などは 『大福星』 を思い出したが、ジェットコースターのレールをくぐったり裏に回ったりするアクションは新鮮で面白かった。
最終的に、大型冷凍室(霊安室?)に閉じ込められて凍えかけたサンダルたちを助けたのは、大家さんの金庫破りだった。無数の歯車が次々に回りながら、何重にもなった穴のひとつずつに落とし込まれていく描写はすごくうまいと思う。鳥肌が立つような緊張感というのか、ここを最後の盛り上がりにしたゲーム感覚の映画を見てみたいと思うような、そんなカッコよさがある。マイケル・ホイの見せ場です。そこではあまり役に立たなかったユンピョウ警部も、カギの開いた金庫のドアを最後に開くのがアナログな発想だった、という小粋な見せ場がいいですねぇ(笑)。
そして、赤ちゃんは無事息を吹き返して両親の元に帰り、サンダルたちは刑務所で服役することになる。出所したら今度こそ真面目に生きようと心に決め、ラストにようやく赤ちゃんの名前がわかるのだ。ほのぼのハッピーエンドでよかったなぁと。
本作を見て、ベニー・チャン監督はわりとオールマイティなんだなと感心した。コメディというか、コミカルな人間模様の描き方もうまいし、とにかく映画全体のテンポがいい。得意分野のアクションも、この映画のカラーに合わせた軽いタッチのアクション演出にしていたり、そのあたりのさじ加減というか、バランス感覚が絶妙だなと思うのだ。
難を言えば、人の感情を表現しようとする時、スロー映像やBGMを被せる演出がちょっとしつこいというか、ベタッとしてるなと思うんだけどね。しかし、ジャッキーのキャラを新しく生まれ変わらせてくれる手腕には感服している。
前作のジャッキーは「どん底に堕ちた元エリート警官」だったが、今回は最初からダメオヤジというか、「大人になれないアダルト・チルドレン」てところかな。無垢な赤ちゃんの魂に触れ、「いまさら生まれ変われない…」と呟きながら、それを守ろうと立ち上がって命懸けで闘う。人はチャンスさえあれば、いつでも人生をやり直せるんだという、ごくシンブルで前向きな結論にいたっているのだ。そういう、どんなにありきたりでもいい、物語の中で主人公の再生や成長が自然な流れで描かれている映画って、好きだ。
…まぁ、香港映画もスマートになったなぁ、と改めて思った。
この 『プロジェクトBB』 は非常に良作だと思うが、逆に言うと、Mr.Boo!のような振り切った香港的ギャグとか、 『ポリス・ストーリー』 のような超絶アクションや緊張感はあまり感じられない。上質でバランスがよくなったなと思う一方で、80年代の香港映画パワーに比べると、時代が変わったなぁと多少の寂しさも感じてみたりもする。一部分だけが突出したようないびつな形をしていた映画は、そのインパクトやパワフルさが強烈な魅力だったのも確かなのだ。
そんな懐古主義にもちょっと浸ってみたくなる、いろんな感情が交錯する不思議な映画だと思うのでした。